肥満診療の保険適用条件
肥満は単に体重が増えている状態というだけでなく、健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な診療と管理が大切です。
2025年4月に肥満症の新しい治療薬として持続性GIP/GLP1受容体作動薬である「ゼップバウンド」が発売されました。
この記事では、「ゼップバウンド」の適応、効果、2024年2月に発売された「ウゴービ」との違い、投与方法などを解説します。
ゼップバウンドとは?
ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)は、2025年4月に肥満症治療薬として日本で新たに登場した注目の薬剤です。もともとは糖尿病治療薬「マンジャロ」として知られていた成分であり、今回「肥満症」という適応で正式に保険適用されることになりました。
ゼップバウンドは、GLP-1受容体だけでなく、GIP受容体にも作用する「デュアルアゴニスト」と呼ばれる新しいタイプの薬です。GLP-1受容体作動薬は、食欲を抑え、満腹感を持続させることで食事摂取量を自然に減らす効果がありますが、GIPとの併用作用により、さらに高い体重減少効果が期待できる点が大きな特長です。
実際に海外の臨床試験では、ゼップバウンドを使用した被験者の多くが10%以上の体重減少を達成し、一部では20%以上という劇的な減量効果が確認されています。これは、従来のGLP-1受容体作動薬「ウゴービ(セマグルチド)」よりも高い減量効果があるとされ、重度肥満や生活習慣病を伴う肥満症患者にとって大きな治療選択肢となります。
保険適用となる条件
適応となるのは、以下のような条件を満たす方です:
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1 最新の診療ガイドラインの診断基準に基づき、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、かつ以下を満たす患者であること。
・ BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害(注1)を有する。
・ BMIが35 kg/m2以上
(注1)肥満症に関する健康障害(4382試験の組入れ基準とされた健康障害) (1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)(2)脂質異常症(3)高血圧(4)高尿酸血症・痛風(5)冠動脈疾患(6)脳梗塞(7)非アルコール性脂肪性肝疾患(8)月経異常・不妊(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群(10)運動器疾患(11)肥満関連腎臓病
これらの条件を満たし、医師が「医学的に減量治療が必要」と判断した場合には、保険診療の対象となります。
これに対し、単なる美容目的や、BMIが25程度の軽度肥満のみでは、ゼップバウンド・ウゴービともに保険適用の対象外となり、自費診療での対応となります。
投与方法と副作用について
投与方法は週1回の皮下注射で、患者さまご自身で自己注射を行うタイプです。投与量は2.5mgから開始し、数週間ごとに段階的に増量していくことが多く、医師の管理のもとで副作用に配慮しながら慎重に治療を進めていきます。
なお、GLP-1やGIP/GLP-1受容体作動薬は、胃の排出を抑えて満腹感を維持し、過食を防ぐ一方、初期には吐き気や胃のむかつき、便秘などの消化器症状が現れることがあります。
保険適用外となるケースと自費メディカルダイエット
前述の条件に当てはまらない場合、つまり美容目的のダイエットや軽度の肥満で医療的適応がない場合は、肥満外来の受診は保険適応外(自費診療)となります。たとえば「健康上の問題はないが数kgだけ減量したい」「結婚式やイベントに向けて痩せたい」といったケースでは、公的保険は使えず全額自己負担の自由診療となるのが一般的です。
当院で行う自費のGLP-1ダイエット外来のご紹介
Myクリニック本多内科医院では、保険診療での生活習慣病管理に加えて、保険適用の条件を満たさない方向けに自費診療の肥満外来(メディカルダイエット)も実施しています。当院では、主にGLP-1受容体作動薬やGIP/ GLP-1受容体作動薬を用いたダイエット外来を提供しています。これは上述のGLP-1注射による治療で、食欲コントロールと血糖改善効果を活かして無理のない減量を目指すものです。
GLP-1受容体作動薬(GLP-1製剤)本来糖尿病の治療薬ですが、先述のように肥満症治療薬として日本でも2024年にセマグルチド(商品名ウゴービⓇ)が発売されました。ただしこの薬を保険診療で使うには「BMI35以上」や「BMI27以上かつ複数の合併症あり」など非常に厳しい基準を満たす必要があり、専門の医療機関でのみ処方が許可されています。
美容目的での使用は保険適応外であり、医療上必要と認められた場合に限定されます。そのため、現状では多くの方にとってGLP-1製剤を用いた肥満治療は自費診療で受ける形になります。
当院のGLP-1ダイエット外来では、内科専門医が事前に詳しく問診・検査を行い、患者さん一人ひとりの体質や健康状態に合わせて治療計画を立案します。安全に配慮しながら少量からGLP-1製剤を導入し、定期的な通院で効果と副作用のチェック、栄養指導などのサポートを行っています。
なお、自費診療とはいえ医学的に治療が必要と認められない場合(例えば肥満度が低く美容目的のみの場合)には、当院では無闇な投薬は行っておりません。患者さんの健康を最優先に考え、本当に必要な場合に適切な医療介入を提供しております。
肥満に悩む方は、お一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。
適切な肥満診療によって無理のない健康的な減量を実現し、生活習慣病の予防や改善、そして何よりご自身の自信回復へとつなげていきましょう。
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📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)
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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介