治療効果や注意点を解説致します。
花粉症がつらくて、毎年のように鼻水やくしゃみに悩まされていませんか?
花粉症の原因はスギやヒノキなど様々ですが、近年飛散する期間も長くなってきており、悩まされる方も増えてきています。 薬で症状を抑えても、根本的な治療にはならず、また来年の花粉症の時期を想像すると、「できることなら花粉症を治したい」と思っている方も多いでしょう。 実は、花粉症に対して根本的な体質改善を目指せる治療法が存在します。 それが「舌下免疫療法」と呼ばれる方法です。 この記事では、舌下免疫療法の仕組み、効果、注意点などをくわしく解説していきます。この記事を読むことで、花粉症に対する新たな治療の選択肢を知ることができ、 快適な生活を目指す第一歩を踏み出す助けになればと思います。
舌下免疫療法とは?花粉症にどう作用する?
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体に取り込み、体質を改善していく治療法です。 なぜこうした方法が必要かというと、花粉症の症状は、体の免疫が過剰に反応することによって引き起こされるためです。 つまり、アレルゲンに対して体を「慣らす」ことで、過剰反応を抑えることができます。 たとえば、スギ花粉症の場合は、スギ花粉由来のエキスを舌の下に投与し、 体に少しずつ免疫をつけていきます。この方法は、注射と違い自宅でも治療ができ、 痛みもないため、多くの方にとって取り組みやすいといえるでしょう。さらに、治療を続けることで症状が軽くなるだけでなく、根本的な改善を期待できる点も大きな特徴です。
舌下免疫療法は、花粉症に悩む方にとって、アレルギーを抑える薬を飲んで一時的に花粉症の症状を抑える通常の治療とは異なる治療方法といえます。
舌下免疫療法の効果とは?期待できるメリット
舌下免疫療法を行うことで、花粉症の症状が大幅に軽くなる可能性があります。
免疫の働きを根本的に変えることで、花粉に対する過剰反応そのものを抑えることができるからです。
実際、国内外の研究では、舌下免疫療法を受けた方の約7~8割が、症状の改善を実感しているというデータがあります。中には、花粉の飛散する季節でも、ほとんど症状が出なくなる方も少なくありません。
また、花粉症に対する薬の使用量が減ったり、服用する期間が短くなったり、薬に伴う副作用(眠気やだるさ)に悩まされなくなったりする点もメリットとして挙げられます。
このことから、現在花粉症に悩まされている方々にとって、舌下免疫療法はとても有力な選択肢となるでしょう。
舌下免疫療法の注意点。デメリットや治療期間も解説 します。
舌下免疫療法には大きなメリットがある一方で、注意すべきポイントもあります。
一つ目は効果が出るまでに時間がかかることです。一般的には、最低でも2~3年間、 毎日欠かさず薬を服用し続ける必要があります。長期の内服が必要になることは最初に承知して頂く必要があります。
また、治療を始めた最初の年は、すぐに効果を感じにくいという方もいらっしゃいます。 長い目でみて、地道に続けることが、成功の鍵となります。さらに、すべての方に効果が出るわけではない点も理解しておく必要があります。 効果が十分に現れないケースも、約2~3割程度は存在すると報告されています。
また、治療開始直後には、口の中の違和感や軽いかゆみ、腫れなどの副作用が出ることもあります。 ほとんどは軽度で自然に治まりますが、重いアレルギー反応を起こす可能性もゼロではないため、 医師の指導のもとで治療を進めることが重要です。最初の内服時は院内で待機していただくなどの工夫を当院では行っております。
このように、舌下免疫療法にはいくつかのデメリットもあるため、よく理解した上で取り組むことが大切といえます。
舌下免疫療法を始めるタイミングとは?最適な時期を紹介
舌下免疫療法を始めるには、適切なタイミングがあります。
なぜなら、花粉が飛んでいる最中に治療を開始すると、アレルギー反応が強く出てしまう可能性があるからです。
たとえば、スギ花粉症の場合は、飛散のピークである2月~4月を避けて、 5月~12月の間に治療を始めるのが一般的です。この時期であれば、体への負担を最小限に抑えながら、ゆっくりと免疫をつけていくことができます。
スギ花粉に対するアレルギーが無い方にスギに対する減感作療法を行っても効果は得られないため、治療開始前には必ず血液検査などで、スギ花粉に対してアレルギーがあるということを特定する必要があります。
舌下免疫療法を検討している方は、早めに医師に相談し、適切な時期に治療を開始することが重要です。
舌下免疫療法の実際の流れ
1.スギ花粉症あるいはダニによるアレルギー性鼻炎を疑います
2.成人・小児は5歳から治療可能です
3.血液検査でスギ特異的IgE 抗体あるいはダニ特異的IgE 抗体検査を行い、確定診断をします。
4.注意事項の説明があります
○ 治療期間は、まず3年間を目安にします
○ 副反応、その対処方法をよく理解していただきます
5.はじめの1週間(7回)は、シダキュアスギ花粉舌下錠は、2,000単位、ミティキュアダニ舌下錠は、3,300 単位、その後はそれぞれスギは5,000単位、ダニは10,000単位の錠剤を舌下に服用します。それぞれ開始時の1回目は、クリニック内で指導のもと副反応がないことを確認しながら服薬していただきます。症状の観察は30分間しますので、早めにご来院ください。
6.シダキュアスギ花粉舌下錠5,000単位、およびミティキュアダニ舌下錠10,000単位を安全に舌下服用できることが確認できれば、月1回の処方で経過観察しながら継続していただきます。
7.スギ花粉舌下免疫療法の開始時期は、通常は5月から12月になります(花粉の非飛散時期)。
8.費用:健康保険適応、子ども医療適応です
スギ花粉舌下免疫療法
初回:初診料+血液検査等費用
2回目:再診料・処方箋料
院外薬局で、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000単位 7回分
3回目以降:再診料・処方箋料
院外薬局でシダキュアスギ花粉舌下錠5,000単位 28日分 (調剤料+薬剤料3割負担で約2000円)
耳鼻咽喉科クリニックと内科クリニックの違いとは?
舌下免疫療法を検討するとき、「どの診療科で受けるべきか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
耳鼻咽喉科クリニックは、花粉症による鼻炎や喉の症状に特化しているため、細かな鼻の中の診察や処置が得意です。重度の鼻詰まりや、副鼻腔炎を併発している場合などは耳鼻咽喉科での専門的な治療が適しているケースもあります。
一方で、内科クリニックでは、花粉症にとどまらず、身体全体を診ることができるという強みがあります。花粉症は様々な体調不良を引き起こしやすい病気ですが、花粉症の時期に疲労感が出たからと言って、花粉症が原因ではない場合もあります。
下記に最近僕が経験した一例を記します。
ケース1)
40代男性
元々スギ花粉のアレルギーがあった為、3月より花粉症の薬を飲んでいて、調子が良かったものの、4月になって調子が悪くなってきたということで受診されました。
かかりつけの耳鼻科の先生には相談し、花粉症の薬を調整してもらったものの、なかなか改善が得られなかったようです。この方は調べてみると、肝機能の著明な上昇を認めており、肝炎を併発していました。
このように花粉症の時期に調子が悪くなったからと言って、必ずしも花粉症による影響だけではないということはありますし、内科なら早期発見が可能なこともあります。
また、複数の持病をお持ちの方や、様々な薬を服用している方の場合も、内科医のもとであれば、安全に舌下免疫療法を進めることが可能です。
また、気管支喘息やアトピー性皮膚炎など、アレルギー体質に関わる他の病気をお持ちの方も、内科では病気を一括しての診療ができるため、安心して治療を受けられるでしょう。
「内科医のかかりつけ医がある」と安心感もポイントの一つと言えると思います。
このように、花粉症単独の症状だけでなく、身体全体の調子をみながら治療を進めたい方にとっては、 内科クリニックで舌下免疫療法を受けることにメリットがあるのではないでしょうか。
当院では下記のパンフレットも無料で配布しておりますので、ご興味がある方はお声がけください。
監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介
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