生活習慣病の方必見！食事療法って何からやればいいの？
食事の量や栄養バランスの乱れが病気に関係している肥満症、糖尿病、高血圧、脂質異常症（高脂血症）などは、食事療法が重要です。
一方で、食事に気を付けましょうと病院やクリニックで言われても「どのように気を付けたらいいか分からない」ということはありませんか？
とはいえ、毎回栄養士さんに話を聞くのは現実的ではない場合も多いでしょう。
食事療法と言われると、多くの方が、厳しい制限をイメージして不安を感じるようです。
今回、食事療法のポイントと取り組みやすい始め方についてまとめましたのでご覧ください。
「本当は怖い生活習慣病。がんとの関係も！」の記事はこちらをご覧ください。
① 食事療法の基本
1, 適切なエネルギー摂取が重要です。
自身の活動量や体格に合わせた適切なエネルギー摂取量を守ることが大切です。
過剰なエネルギー摂取は肥満につながり、生活習慣病のリスクを高めます。
下記に一般的なエネルギー摂取量を示しますが、肥満の人は少なめにするなどの注意が必要です。
以前、極度の低身長の方で摂取カロリーは守っているのに体重が減らないとおっしゃっている方がいたため、身長から適切なカロリーを計算したところ、大幅に多く節酒いていることが分かりました。身長、活動量によって適切なエネルギー摂取量が変わってくるということは重要なポイントです。
ちなみにてりやきマックバーガーは477kcal、フライドポテトMサイズ409kcalなので、886kcalです。摂取カロリーの面で言えば、昼にてりやきマックバーガーセットを食べた時は夜の摂取カロリーをだいたい300kcal程度抑える必要があります。
こんな風に考えていくと、食事療法も取り組みやすいと思いませんか？
2, バランスの取れた食事:
主食、主菜、副菜（下記を参照ください）を組み合わせ、偏らない食事を心がけ、必要な栄養素を摂取しましょう。
絶対に食べてはいけないものは特にありませんが、特に、野菜、果物、全粒穀物、魚などを積極的に摂ることがお勧めです。
主食: 炭水化物を主なエネルギー源とする食品（ご飯、パン、麺類など）
主菜: タンパク質を主な供給源とする食品（肉、魚、卵、大豆製品など）
副菜: ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む食品（野菜、きのこ、海藻など）
3, 規則正しい食生活
1日3食を規則正しく摂ることで、血糖値の急激な変動を防ぎ、生活リズムを整えます。間食をすることにより血糖が高い時間が長くなり、糖尿病のリスクが高くなります。
4, 塩分制限
塩分の摂りすぎは高血圧の原因となります。1日6g未満を目安と言われますが、実際に塩分6g未満を自宅で達成するのはかなりハードルが高いと言えます。
ちなみにカップヌードル１食で塩分は4.9gです。
まずは汁物を控える、スープを飲みすぎない、減塩醤油に変えるなどが、取り組みやすいかもしれません。
5, 脂肪の質と量
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸（魚や植物油に多い）を積極的に摂りましょう。飽和脂肪酸やトランス脂肪が多く含まれている揚げ物や加工食品は控えめにしましょう。
6, 食物繊維
食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにし、腸内環境を整える効果があります。食物繊維は野菜、果物、海藻、きのこなどに豊富に含まれます。
7, 糖分
糖分の取りすぎは、血糖値を急激に上昇させ、糖尿病のリスクを高めます。甘い飲み物やお菓子は控えましょう。最近、外来でもお菓子の袋を一回開けると、１袋全部食べちゃうのよーとおっしゃっていた方がいらっしゃいました。どうしても食べてしまう人は１袋や１パックを数日に分けて食べるということから始めてみてください。
色々難しいことも書きましたが、
大事なことは「適度な量を、規則正しく食べる」、これに尽きると思います。
適切な量が分からない方は、「揚げ物や加工食品は控えめにして、腹八分ですませる」ことから始めてみてください。何kcalか数えることも重要ですが、今までよりも少しずつでも気を付けていくことが、食事療法を始めていく一つのコツだと思います。
② 食事療法の際に気をつけたい食べ方のポイント
1, 野菜を先に食べる:
食物繊維が豊富な野菜を先に食べることで、血糖値の上昇を緩やかにすることが期待できます。また、汁物を食事の最初に摂ることで、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐことができます。
2, ゆっくりよく噛んで食べる
よく噛むことで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぎます。また、消化を助け、栄養の吸収を良くします。
3, ながら食いをやめる
テレビやスマートフォンを見ながら食いをやめましょう。目の前の食事に集中することで、満腹感を感じやすくなります。
4, 食事のペース
食事を始めてから満腹感を感じるまでには、約20分かかると言われていますので、20分以上かけるのがお勧めです。
脂質異常症や糖尿病の方は上記の点に気を付けてください。適切な摂取カロリーと規則正しい食生活を心がける、間食を控えることが重要です。
高血圧症の方は一部先に述べた部分と重複するところもありますが、減塩の細かい点とカリウムについて述べた下記もご参照ください。
③ 高血圧症の食事療法について
高血圧の方の食事療法では減塩が非常に重要です。続いてカリウムの摂取が有用とされており、これはカリウムが体内の余分なナトリウム（塩分）を体外に排出する働きがあるためとされています。
1. 減塩
- 塩分摂取量を1日6g未満に抑えましょう。
- 外食や加工食品は塩分が多いので控えましょう。
- 醤油やソースはかけすぎないようにして、醤油は減塩のものを選びましょう。
- 香辛料や香味野菜（ショウガ、ニンニク、シソなど）を活用して、薄味でも美味しく食べられるように工夫しましょう。
- 麺類のスープは残しましょう。
2. カリウムの積極的な摂取
- 野菜：ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなど
- 果物：バナナ、キウイ、リンゴなど
- 海藻：わかめ、昆布など
④ 食事療法の効果はどれくらいで出てきますか？
これは皆様が気になるところではないでしょうか？
一念発起して食事療法を始めたからには効果の実感が欲しくなるのは当然だと思います。
食事療法の効果が現れるまでの期間は、個人の健康状態、目標、そしてどのような食事療法を行うかによって大きく異なりますが、一般的には、数週間から数ヶ月で効果を実感できることが多いです。短期的な効果と長期的な効果に分けて説明いたします。
1. 短期的な効果 (数日から数週間)
糖尿病の食事療法では、適切なカロリー制限を行い、間食なども控えると、数日から数週間で血糖値の改善が見られてきます。血糖の自己測定を行っている方は食事療法の効果をより早期から実感できると思います。
HbA1cは過去1～2ヶ月間の血糖値を反映する指標になりますので、HbA1cの改善には通常2-3ヵ月を要します。
高血圧の食事療法では、数週間で血圧の低下を実感できることが多いです。高血圧の方が入院した時に降圧剤が要らなくなるくらい血圧が低くなることがあるのは、病院の減塩食の効果であることが多いので、それくらい減塩と血圧は密接に関係しています。
カロリー制限を心がけた食事療法では、数週間で体重が減少することが期待できます。ご自身の標準体重・運動量に合わせた摂取量を意識しましょう。運動療法も取り入れることにより、さらなる体重減少が期待できます。
食物繊維を多く含む食事療法では、数日から数週間で便通が改善したり、体調が良くなったりすることがあります。
2. 中長期的な効果 (数週間から数ヶ月)
脂質異常症の食事療法では、数週間から数ヶ月でコレステロール値の改善が見られてきます。家族性の高コレステロール血症の方は食事療法のみでは改善が得られない場合もありますので、主治医の先生にもご相談ください。
バランスの取れた食事療法と運動を組み合わせることで、数ヶ月で内臓脂肪が減少することが期待できます。内臓脂肪は外から正確に測るのは難しいですが、腹囲が参考になります。
長期的に食事療法を続けることで、生活習慣病のリスクを大幅に低減できます。これは食事療法の最大の効果と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか？
今回は生活習慣病における食事療法についてお話ししました。
食事療法のメリットは副作用が無いことです。ご自身が気を付けることにより、ご家族の健康に繋がってくるケースも多く見られます。
重要なのは「継続」することなので、最初から厳しい目標を建てるよりも、少しずつ無理のない範囲で始めて行くことをお勧めしています。
今回の内容が少しでも皆様の食事療法の参考になれば嬉しいです。
生活習慣病でクリニック受診を検討中の方は是非一度当院へご相談ください。
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ワクチンの予約に使用できる他、今後多方面での展開を考えております。
監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介
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