熱中症・食欲不振・脱水…夏の体調不良を防ぐコツ、教えます
夏の体調不良の原因と特徴
暑い夏は体温調節が追い付かず、熱中症や夏バテによる不調リスクが高まります。熱中症とは高温多湿の環境で体温調節機能のバランスが崩れ、体に熱がこもることで起こる状態です。重度の熱中症ではめまい・吐き気・けいれん・意識消失などが生じることがあります。また夏バテ(夏の暑さへの不適応)では、屋内外の温度差で自律神経が乱れ、胃腸の働きが弱まって食欲不振や消化不良を招くことがあります。
さらに、夏は汗を大量にかくため体内の水分・塩分が失われやすく、脱水症状を起こしやすい季節です。意外と知られていないことですが、高齢者は口の渇きを感じにくく水分摂取が不足しやすいため、脱水や熱中症になりがちです。高齢のご家族が水を勧めないとなかなか飲まないという経験はないでしょうか?実際、総務省消防庁の調査では、2024年5~9月の熱中症搬送者数のうち高齢者が最多で、発生場所も自宅が最も多いと報告されています。また、活発に動く子どもは新陳代謝が高く汗や尿で水分を失いやすく、体表面積も大きいため大人以上に暑さの影響を受けやすい体格です。子どもは遊びなどに夢中になると水分補給を忘れがちになるため、周囲の大人がこまめに声かけをしてあげましょう。
よくあるケースの紹介
高齢者の例:
70代の女性が2~3日間からだのだるさを感じ、いつも通り買い物に出かけたところ帰宅中にめまい・ふらつきを起こしました。また、80代の男性が「まだ6月だからエアコンを使うのは早すぎる!」といって室内でエアコンを控えて過ごし、3日間の食欲不振・体のだるさの後に動けなくなるケースもありました。このお二方は点滴、ご自宅の環境調整によってその後は落ち着いています。室温管理を怠ると、屋内でも熱中症になり得ることがわかります。
労働者の例:
炎天下で建設作業をしていた40代男性は大量に汗をかいたものの水分補給が追いつかず、作業中に意識が朦朧となりました。同様に、蒸し暑い環境で工事に従事していた50代男性が脚がつって動けなくなった事例もあります。激しい作業時はこまめな水分・塩分補給が必須です。
子どもの例:
遊びに夢中になった子どもは、水分を摂ることを忘れがちです。例えば、プールで長時間遊んだ小学生の男の子はほとんど水分をとらずに吐き気を訴えました。また、小児では夏かぜの一種であるアデノウイルスやコクサッキーウイルス感染による発熱・喉の痛み・口内炎・食欲不振を伴うケースもあります。子どもが顔色不良やだるさを訴えたら、すぐに休憩させて水分補給を促しましょう。
自宅でできる予防法
まず、こまめな水分補給が基本です。のどが渇いていなくても意識的に水分をとる習慣を身に付けましょう。特に高齢者は渇きを感じにくいので、時計やアプリで時間を決めて摂取するのがおすすめです。スポーツドリンクや経口補水液には失った塩分・ミネラルが含まれており、汗をかく作業や運動時に有効です。ただし水分のみだと塩分濃度が薄まってしまい、熱中症の予防には不十分となってしまうため、多量の発汗時には食事や梅干し、塩飴、ドラッグストアで売っている塩分補給のタブレットなどで塩分補給も意識しましょう。
食事面では、消化に負担のかからない冷たすぎない軽めのメニューを心がけます。冷房の効いた室内と暑い外気との温度差が大きいと自律神経が乱れやすく、胃腸の働きが低下して食欲不振を招くことがあります。アイスクリームなど冷たいものを摂りすぎると内臓が冷えてさらに食欲が落ちる場合もあるので、食べすぎには注意してください。また、野菜や果物、糖質、ビタミン類をしっかり摂り、エネルギーと栄養を確保しましょう。
部屋の温度管理も重要です。高齢者は特に暑さを我慢してしまう傾向があるので、室温が30℃を超える日にはエアコンや扇風機を積極的に利用しましょう。
当院でも、日常の生活空間でできる工夫として「暑いと感じたら早めにクーラーをつける」ことを推奨しています。服装は通気性の良い綿素材など薄手のものを選び、直射日光や熱を遮るために帽子・日傘を活用してください。
さらに、体力づくりも予防に役立ちます。初夏から毎日のウォーキングやラジオ体操などで汗をかく習慣をつけて、暑さに慣れておくことは、熱中症予防につながります。十分な睡眠とバランスの良い食事で体調を整え、暑さに負けない丈夫な体をつくりましょう。また、夏かぜ対策として帰宅後の手洗いうがいも忘れないようにしましょう。
異変を感じたときの対処法
熱中症の初期症状(めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、体のほてりなど)を感じたら、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を冷やしましょう。すでに症状が出ていたら、とにかく体を冷やすことが最優先です。首筋やわきの下など太い血管が通っている部分に冷却材や氷嚢をあて、扇風機やうちわで風を当てて体温を下げます。下に冷やした方が良い場所のイラストを載せます。

同時に、水またはスポーツドリンクなどで水分・塩分補給をしてください。口から水分が摂れる軽症の場合はゆっくり休息し様子を見ますが、状態が悪く、経口摂取が難しい場合は無理に飲ませず、速やかに医療機関を受診しましょう。
以下の場合にもすぐに救急車を呼びましょう。
- ①意識がもうろうとしている
- ②けいれんがある
- ③吐き続ける
- ④意識がなくなる などの重い症状がある場合はすぐに救急車を呼んでください。一時的に症状が落ち着いても油断せず安静にし、再発や悪化の兆候があれば早めに受診した方が良い状況です。
クリニックでの診療内容・点滴対応などの紹介
当院は横浜市神奈川区にある内科・循環器内科クリニックです。予約不要で当日すぐに受診いただけますので、異変を感じたらお気軽にご来院ください。熱中症や夏バテの疑いがある場合には、問診・診察の上で必要に応じて点滴(輸液)による水分・塩分補給を行います。軽症~中等症の場合はクリニックで休息と点滴をすることで改善が期待できます。点滴治療は冷たい輸液で体の熱を下げる効果もあり、症状緩和に有効です。
当院は循環器の専門医も在籍しており、高血圧や心疾患をお持ちの方も安心してご相談いただける体制です。
当院からのメッセージ
当院は地域に根ざした「かかりつけ医」として、皆さまの健康を第一に考えています。梅雨明け以降の暑い季節は特に、普段と違う症状や体調の変化にお気づきのことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
また、ご家族の介護やお子様の具合で心配なことがあれば、電話での問い合わせも承ります。夏の健康管理には水分補給の励行が大切ですので、ご家庭でもお互い声を掛け合って予防してください。熱中症・脱水は早めの対処で重症化を防げます。
当院では地域のかかりつけ医として、高齢者からお子様まで幅広い年齢層の健康管理をサポートしています。夏の体調不良でお困りのときは、どうぞお早めにご来院ください。
ご自宅で動けないような状況であれば往診などにも応じておりますので、一度ご連絡ください。
📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)
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ワクチンの予約に使用できる他、今後多方面での展開を考えております。
監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介