「血圧が高い日にめまいがする」と感じると、脳卒中や心臓の病気ではないかと不安になる方は少なくありません。実際には、めまいの多くは耳の病気、脱水、睡眠不足、薬の影響、起立性低血圧などでも起こります。一方で、著しい血圧上昇に神経症状や胸痛、息切れなどを伴う場合は、急いで評価が必要です。
この記事では、高血圧とめまいが重なったときに、どの症状を危険サインとして見るべきか、どのタイミングで受診するか、外来でどのような確認を行うかを、循環器内科専門医の立場からお伝えします。高血圧そのものの詳しい説明は、高血圧の案内をご覧ください。
高血圧とめまいの関係で、まず知っておきたいこと
1. めまいは、必ずしも血圧だけで起こるわけではありません。
回転するようなめまい、頭を動かしたときに出るめまい、立ち上がった直後のふらつきなど、症状の出方によって考える原因が変わります。詳しい受診の目安は、めまいも参考になります。
2. 「非常に高い血圧」と「危険な症状」が重なるときは注意が必要です。
血圧が180/120mmHg以上を目安に、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、激しい頭痛、胸痛、息切れ、冷汗、背中の強い痛みなどがある場合は、救急受診を考える状況です。
3. 家庭血圧の記録は、診察で大切な手がかりになります。
家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は、普段の血圧の傾向を確認する必要があります。血圧が高い状態が続く方では、生活習慣病外来での継続的な管理が重要です。
“血圧×症状”で見る危険サイン
1. 高血圧+神経症状
ろれつが回らない、片側の顔がゆがむ、片側の手足に力が入らない、物が二重に見える、まっすぐ歩けない、突然の激しい頭痛がある場合は、脳卒中や高血圧脳症などを考えます。症状が一度おさまっても、一過性脳虚血発作の可能性があるため油断できません。
2. 高血圧+胸や背中の強い痛み
胸の圧迫感、冷汗を伴う胸痛、背中に裂けるような痛みがある場合は、心筋梗塞や大動脈の病気などを考えます。胸の症状がある方は、胸が痛いの受診目安も参考にしてください。
3. 高血圧+息苦しさ・冷汗・強いだるさ
息苦しさ、横になると苦しい、冷汗、急な体重増加やむくみを伴う場合は、心不全の悪化や急性冠症候群を考えます。息切れが続く方は、息切れ・息苦しい、むくみがある方は足のむくみもご覧ください。
4. 高血圧+動悸・脈の乱れ
めまいに加えて、脈が飛ぶ、急にドキドキする、失神しそうになる場合は、不整脈や心房細動が隠れていることがあります。症状がある場合は、動悸・脈が飛ぶも確認してください。
クリニックへの受診を考えたいめまい
- 血圧が高い日とめまいが重なることが増えている
- 立ち上がった直後のふらつきが増えた
- 降圧薬の開始や増量後に、ふらつきやめまいが出るようになった
- 動悸、胸の違和感、息切れ、失神しそうな感じを伴う
- 糖尿病、慢性腎臓病、心臓病の既往がある
- 65歳以上でふらつきが増え、転倒が心配になってきた
受診までに、朝と夜の家庭血圧を数日分記録しておくと診察に役立ちます。健診で血圧、血糖、脂質、腎機能、心電図異常を指摘された方は、結果用紙もお持ちください。
放置した場合に心配なこと
高血圧が長く続くと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎機能低下、大動脈の病気などのリスクが高まります。さらに、脂質異常症、糖尿病、喫煙、睡眠時無呼吸症候群が重なると、血管への負担はさらに大きくなります。
めまいだけなら良性のこともありますが、「いつもと違う」「急に始まった」「胸痛や神経症状を伴う」ときは、様子を見すぎないことが大切です。
来院前に確認しておきたい5つのこと
- 血圧:朝・夜、安静後に測った値
- めまいの型:回転する、ふわふわする、立ち上がると出る、歩きにくいなど
- 始まり方:突然か、徐々にか、何分続くか
- 一緒に出る症状:頭痛、しびれ、脱力、胸痛、息切れ、冷汗、動悸
- 薬の変化:降圧薬、睡眠薬、利尿薬、サプリメントの開始や変更
強い胸痛、片側の脱力、ろれつが回らない、意識が遠のく、歩けないほどのふらつきがある場合は、通常の外来を待たずに救急受診をご検討ください。
本多内科医院での診察と検査
当院では、一般内科と循環器内科の両面から、高血圧とめまいの関係を確認します。問診、血圧測定、聴診、神経症状の有無、むくみ、脈の乱れを確認し、必要に応じて検査を組み合わせます。
- 血液検査:貧血、腎機能、電解質、血糖、脂質、炎症反応などを確認します。
- 尿検査:蛋白尿や腎臓への影響を確認します。
- 心電図検査:不整脈、心房細動、心臓への負担を調べます。
- ホルター心電図検査:短時間の心電図では見つかりにくい脈の乱れを確認します。
- 心臓超音波検査(心エコー):心臓の動き、弁膜症、心不全の有無を評価します。
- レントゲン検査:心臓の大きさや肺うっ血、胸部の病気を確認します。
- 頸動脈超音波検査(頚動脈エコー):動脈硬化の程度を確認します。
- ABI検査:足の血管の動脈硬化を調べます。
- 睡眠時無呼吸症候群の簡易検査:いびき、日中の眠気、朝の血圧高値がある方で検討します。
健診で心電図異常を指摘された方は、健診での心電図異常・不整脈もご覧ください。いびきや朝の血圧高値が気になる方では、睡眠時無呼吸症候群の評価が血圧管理に役立つことがあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. めまいが数分で治れば、受診しなくてもよいですか?
A. 一度きりで軽い症状なら経過を見ることもありますが、繰り返す、頻度が増える、血圧が高い、しびれや脱力を伴う場合は受診をおすすめします。
Q2. 血圧が高い日に、薬を余分に飲んでもよいですか?
A. 自己判断での増量は避けてください。ふらつきや転倒につながることがあります。症状が強い場合は救急受診、症状が落ち着いている場合も早めに医師へ相談してください。
Q3. 高血圧とめまいがあると、必ず脳卒中ですか?
A. 必ず脳卒中というわけではありません。耳の病気、脱水、薬の影響、起立性低血圧などでも起こります。ただし、突然の神経症状や歩行困難を伴う場合は救急対応が必要です。
Q4. 予防のために何をすればよいですか?
A. 家庭血圧の記録、減塩、適正体重、運動、禁煙、節酒、睡眠の見直しが基本です。禁煙外来や健康診断・各種検診も、生活習慣病の早期発見に役立ちます。
まとめ
- めまいは高血圧だけでなく、耳の病気、脱水、薬の影響、心臓や脳の病気でも起こります。
- 高血圧に、神経症状、胸痛、息切れ、冷汗、強い背部痛を伴う場合は救急受診を考えます。
- 家庭血圧の記録と症状メモは、診察で原因を考える大切な材料になります。
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群をまとめて管理することが、脳心血管リスクの低下につながります。
「いつものめまいと違う」「血圧が高くて不安」というときは、無理に様子を見すぎずご相談ください。
参考文献
- 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019.
- International Society of Hypertension. Global Hypertension Practice Guidelines. 2020.
- European Society of Cardiology. 2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure.
- 日本めまい平衡医学会. 良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン 2023年版.
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🏥 診療科:内科、循環器内科
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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介

