SASがある方の睡眠中は夜間に呼吸が止まりかける状態が繰り返されており、身体は「苦しい」というサインを出し続けているため、そのサインの一つとして朝の血圧が高くなってきます。結果として、
朝だけ高い血圧 や薬を飲んでいるのに朝が特に下がりにくい という形で表れてきます。放置すると脳卒中や心筋梗塞のよく発症する時間帯である早朝と重なり、将来の脳心血管疾患のリスクが上がることが知られています
(1) 。
睡眠時無呼吸症候群に関してはこちらもご覧ください
「朝の高血圧」を正しく測るコツ
まず、測り方を整えることが大切です。起床後1時間以内、排尿後、服薬前、座位で1–2分安静 という条件で測り、1週間分を平均して判断します。家庭血圧の朝の平均が135/85mmHg以上 であれば“高め”と考え、受診をおすすめします。これは日本高血圧学会の推奨に基づく考え方で、診察室よりも生活実態に近い数値を重視しています(2) 。
SASが血圧に与える影響
SASでは、睡眠中低酸素と覚醒反応が何度も起こります。そのたびに交感神経が優位になり、血圧は下がりにくくなります。結果として夜間高血圧 や起床時の高血圧(モーニングサージ)が起こりやすく、朝だけが特に高いというパターンにつながります。SASは若年者においても高血圧の原因となり得るため、循環器領域では、SASの評価と血圧管理をセットで考える重要性が改めて強調されています※3 。
こんな症状・サインは要チェック(セルフチェック)
家族から「いびき」や「息が止まっている」と言われる
朝の頭痛、口の渇き、熟睡感が乏しい
日中の強い眠気、運転中のうとうと、集中力低下
降圧薬を飲んでいるのに朝だけ 高い
夜間に何度もトイレに起きる
該当が多いほどSASの可能性は高まります。SASの診断は、スクリーニングのための簡易睡眠検査や精密検査(PSG検査)を用いて行い、睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数(AHI)を基準に重症度を判定します。
「睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックに関してはこちらもご覧ください」
受診の判断基準
家庭血圧で、朝の平均が135/85mmHg以上 の日が続く(1週間の平均で判断)
いびきや無呼吸の指摘に加え、日中の強い眠気や朝の頭痛がある
複数の降圧薬 を服用しても朝の血圧が下がりにくい 、あるいは心不全・心房細動など合併症があ る
睡眠時無呼吸症候群を放置しないでください。
朝の過度な血圧上昇(モーニングサージ)は、脳卒中などのイベントと関連 する ことが報告されています。また、SASは動脈硬化や心肥大、腎機能低下の進行につながることも報告されています。お仕事で運転をされる方においては、眠気による交通事故リスクも無視できません。早期に評価を行い、必要に応じて治療介入を行うことで、将来のリスクを下げることに繋がります。
当院での評価と治療の流れ
問診・診察 :症状、睡眠時間、いびきの有無、服薬状況、生活リズムを丁寧に伺い、家庭血圧の記録を確認します。
当日から可能な検査 :外来当日に自宅で行う簡易SAS検査機器 を貸し出します(他の方に貸し出している場合もありますので、その際には別日を予約させて頂きます)。
結果説明と方針 :SASが疑われる場合は重症度に応じて、精密検査のご案内、またはCPAP などを検討します。降圧治療は家庭血圧を参照しながら並行して行っていきます。SASの適切な治療は夜間~早朝の血圧改善につながる ことが循環器の声明でも指摘されています。
ケース1)
40代男性。以前より高血圧の治療を行っているものの、朝の血圧が高く、内服薬を調整してもらってもなかなか下がらないということで当院のHPを見て受診されました。BMI 32と肥満体型であり、奥様より夜間のいびきを以前より指摘されていたとのことから睡眠時無呼吸症候群の合併による早朝高血圧を疑い、簡易スクリーニング検査を行いました。簡易検査の結果、AHI 42と重症のSASを認めたため、当院でCPAPを導入としました。CPAP導入後、生活習慣の改善も並行して行っています。家庭血圧を見ながら降圧剤は減量していますが、以前のような朝に明らかに高いというような血圧の変動は少なくなっており、今後も降圧剤の減量が期待できるのではないかと思っています。
ご自宅でできる対策
就寝前の深酒を控える、喫煙は控える
鼻炎がある方は鼻づまりの治療、枕の変更など寝室環境の調整
夕食の塩分を控えめにし、飲食は就寝3時間前までに済ませる
定期的な有酸素運動と体重管理、規則正しい睡眠
家庭血圧は毎朝・毎晩 、同じ条件で測り記録する
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 受診前にできるセルフチェックは?
A. ①朝の家庭血圧を1週間 (起床後1時間以内・排尿後・服薬前・座位で)記録 ②家族にいびき・無呼吸 の有無を確認 ③就寝・起床時刻など をメモ――この3点をご持参ください。診察の参考になります。
Q2. CPAPは必ず必要ですか? 副作用は?
A. 重症度と症状で決めます。軽症〜中等症では体重管理やマウスピースの装着で改善する方もいます。CPAPは有効性が期待できますが、継続治療が必要な方法になります。患者さんそれぞれによってCPAPを使っていく中で悩みが出てくる場合もありますので、その際には一緒に考えて対応しています。保険適用や自己負担は条件により異なります 。
Q3. 検査は痛くありませんか? 仕事を休めません。
A. 自宅での簡易検査は基本的に痛みを伴いにくく、普段どおり就寝できます。外来で装着の仕方をご案内し、夜間に自宅で付けて頂き、翌日に機器を返却+結果を聞いていただく流れが一般的です。当院では機器の返却日に結果をお話ししています。
当院の強み
予約不要 :思い立ったその日に受診いただけます。
専門医対応 :循環器内科専門医が、心臓・血圧・睡眠 のつながりを踏まえて診療します。
当日検査に対応 :簡易SAS検査機器 の当日貸出に対応します(在庫状況により予約となる場合もあります)。
まとめ
朝だけ高い血圧は、単なる“一時的な上がり”に見えても、SASをはじめとする疾患が潜むことがあります。朝の血圧が妙に高い、薬を飲んでも朝の血圧がなかなか下がらない、などが思い当たる方は、横浜市神奈川区にある内科・循環器内科のクリニックである本多内科医院に一度ご相談ください。早めの対応が、将来の脳心血管イベント予防につながっていきます。
参考文献
N Engl J Med 2005;353(19):2034-2041.
日本高血圧学会. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)
Circulation. 2022;145(9):e722-e759.
睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020. 監修 日本呼吸器学会.
🏥 診療科:内科、循環器内科
🔷 総合内科専門医、循環器内科専門医
📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)
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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介