高尿酸血症とは

尿酸は、体内のエネルギー代謝の結果生じたプリン体が肝臓で代謝されて生成されます。通常尿酸は体外へ排泄されますが、尿酸が過剰になると血液中の尿酸が増え、高尿酸血症となります。
血清尿酸値が7.0 mg/dLを超える状態が高尿酸血症と定義されています。高尿酸血症はそれ自体での自覚症状は認めず、健康診断で偶然指摘されることも多い生活習慣病です。高尿酸血症になるリスクとしては遺伝的要因や、食事、飲酒、運動などの要因が発症に関与します。高尿酸血症は尿酸産生過剰型(尿酸を作りすぎている)、尿酸排泄低下型(尿酸の排泄が少ない)、そしてその両者が混在するパターンの3つに分類されています。高尿酸血症は日本人の男性20%、女性5%程の割合で存在すると報告されており、高尿酸血症患者のおよそ80%に高血圧症、肥満症、耐糖能異常、脂質異常症といったその他の生活習慣病を合併するといわれています。
痛風について
血液中の尿酸値が上昇し、血中に溶けきれなくなると、関節内に尿酸塩結晶が生じます。この結晶を白血球が処理する際に痛みが生じます。これが急性関節炎であり、痛風発作です。
■突然の激痛:
痛風の痛みは突然現れ、強烈に激しいものです。風が吹いても痛むと言われます。
■痛みの位置:
痛みは主に足の親指の付け根(中足趾節関節)で起こります。足の甲、足首、かかとに生じることも多く、まれに手の関節やひざに生じることもあります。
■痛みの時間帯:
人は寝ている間に汗をかくことで軽い脱水状態になります。このとき、血中の尿酸濃度が高まりやすくなり、体温も下がるため、結晶ができやすくなります。これらの条件が重なる夜間から早朝にかけては痛風発作が起きやすい時間帯といえます。
■痛みの経過:
痛風発作時は、歩行困難になるくらいの激痛に見舞われますが、、関節の痛みや腫れが始まってから2-3時間程度で急激に悪くなり、その後、症状は24時間以内にピークに達し、1-2週間程度で良くなっていきます。
これらが痛風発作の特徴です。痛風の原因である高尿酸血症を放っておくと発作を繰り返すので、継続して治療することをおすすめします。
高尿酸血症の治療と治療を開始する目安

具体的な生活習慣の改善策としては、
①食事の量を抑えて、体重を落とす
②アルコールを減らす
③体内の尿酸を尿から排泄させるため水分を多めに摂る。
④適度な有酸素運動
などが挙げられます。
薬物療法には尿酸そのものが合成されるのを抑制する尿酸合成阻害薬と尿酸が尿中へ排泄されるのを促進させる尿酸排泄促進薬があります。
代表的な尿酸合成阻害薬には、
①ザイロリック(アロプリノール)
②フェブリク(フェブキソスタット)
高尿酸血症の薬物治療の開始基準は
①痛風の既往があれば尿酸値が7.0mg/dL以上
②尿酸値が8.0mg/dL以上で合併症(腎障害、高血圧、糖尿病など)がある場合
③尿酸値が9.0mg/dL以上
の3つになります。尿酸値が7~8mg/dL台で合併症がない場合は、生活習慣の改善指導を優先し、それでも尿酸値が改善しない場合に薬物治療を検討します。
高尿酸血症・痛風に関するよくある質問Q&A
Q.痛風の初期症状は?いつ受診すべき?
A.夜間に突然、足の親指付け根が赤く腫れて焼けるような激痛が出るのが典型です。初発・痛みが強い・発熱を伴う・再発が増えた場合は早めの受診を考えましょう。
Q.痛風発作中にやっていいこと/ダメなことは?
A.いいこと:患部の冷却・安静、早めの痛み止めの内服。ダメなこと:長風呂・サウナ・激しい運動・飲酒・過度な水分負荷(悪化要因)、尿酸降下薬の自己中断(内服中の方) 。判断に悩む場合は自分で判断せず、医療機関に相談しましょう。
Q.女性は痛風にならないって本当?
A.痛風になる割合の95%は男性です。女性ホルモンには尿酸を排泄する働きがあることから、100%とはいえませんが、女性は痛風になりにくいです。閉経後は痛風のリスクが高くなります。
Q.治療薬を飲み始めたら一生飲み続ける必要がありますか?
A.個人差はありますが、目標尿酸値を安定して保つためには長期的な内服が基本です。痛風の既往がある、腎機能が悪いなどがあれば尿酸値は低めに保つ必要があります。しかし、生活習慣の改善を並行して行っていけば、薬を減量・中止に出来る可能性はありますので、生活習慣の改善も並行して意識していきましょう。
Q.ビールは完全にダメ?焼酎ならいい?
A.ビールがアルコール類の中でプリン体を多く含く含みますが、肉類よりはかなり少ないです(ビール250mlで100gの牛肉の1/4~1/5)。ビールは大量に飲まれることが多いお酒であること、アルコールは、それ自体の分解の際に尿酸を産生し、尿中尿酸排泄を阻害する働きがあることが痛風発作の理由の一つです。このため、プリン体を含まない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒の飲酒でも血清尿酸値が上昇します。飲酒の際にはお酒の種類よりも飲み過ぎないこと、尿酸排泄がしやすくなるように水分をしっかり摂ることを意識しましょう。
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