高血圧と脳卒中:前ぶれのサイン・救急受診の判断・予防の実践
高血圧は、脳梗塞や脳出血といった脳卒中の危険因子、かつ介入が可能な因子です。自覚症状がなくとも、高血圧は血管にストレスをかけ続け、動脈硬化や小血管の変性が進み、ある日突然、神経の症状として現れます。だからこそ、前ぶれを見逃さず、迷わず受診につなげること、そして日常の血圧管理がとても大切です。この記事では循環器内科専門医の立場から、①前ぶれのサイン、②救急を含む受診の判断、③放置することのリスク、④予防の実践を最新の国内外のガイドラインに沿ってわかりやすく解説します。
1.「前ぶれのサイン」を見逃さない(FAST+“突然”が合図)
脳卒中は突然起こることが多く、次のどれかが当てはまるときは治療までの時間が鍵となります。 • F:顔のゆがみ(片側の口角が下がる、表情に左右で差がある) • A:腕・脚の脱力(片側に力が入らない、力が入らず落ちてくる) • S:ことばの障害(ろれつが回らない、言葉が出ない/理解できない) • T:発症時刻(いつから始まったかを必ず確認) さらに、突然の強い頭痛(今までに感じたことのないような)・ふらついて歩けない・片目の見えにくさや視野の欠けも要注意です。1つでも当てはまれば119番を検討してください。症状が一度おさまっても油断は禁物で、脳の血管が詰まりかけているTIA(一過性脳虚血発作)の可能性があり、準緊急でのの評価が推奨されます。2.迷ったときは「家庭血圧×症状」で3段階トリアージ
• A:119番レベル…FASTのいずれか、または歩けないほどのふらつき・意識が遠のく・突然の激しい頭痛。 → 発症時刻をメモしてお薬手帳を手元において救急要請を。治療の選択肢(例:血栓溶解療法など)は治療開始までの時間が早いほど広まります。 • B:当日外来…明らかなFASTはないが、“いつもと違う”しびれ・視覚異常・強い頭痛が出た/症状が出たり消えたりする(TIAの可能性があります)。 • C:数日以内の外来…症状は乏しいが家庭血圧が普段より高い日が続く、血圧の管理に不安がある。 いずれの場合も家庭血圧の記録が判断に役立ちます。何らかの症状がある場合は、受診前に発症時刻・症状の様子・内服薬をまとめると、診断がスムーズです。3.放置のリスク ——「症状が軽いから様子見」は危険です
TIAを起こした方の一部は短期間で本格的な脳梗塞に移行します。時間がたつほど治療の選択肢は狭まり、後遺症の可能性も高くなります。また、高血圧を治療せずに放置すると、脳出血・心不全・心筋梗塞・腎機能低下などの合併症リスクも時間と共に上がります。「気になる症状が出たらまず相談」が結果的に生活の質を守る近道になることが多いです。4.今日からできる予防の実践
• 家庭血圧の習慣化:朝・夜に安静座位で測定し、記録を継続。受診時に記録をお見せください。 • 生活習慣:減塩、適正体重、継続可能な有酸素運動、十分な睡眠、禁煙・節酒。 • 服薬継続:自己判断の中断や増量は避け、迷ったら医師へ相談しましょう。 • 生活習慣病・合併症の管理:糖尿病・脂質異常症・睡眠時無呼吸の評価・治療など。これらは一次予防の柱として推奨され、脳卒中リスクの低減が期待できます。「生活習慣病の方必見!食事療法って何からやればいいの?」はこちらもご覧ください。

