「いつものむくみかな」と思っていたのに、片足だけが急にパンパンになった。ふくらはぎが張って痛い。そういえば旅行や法事の時に、長時間座っていた・・・。
そんなときに頭をよぎるのが、深部静脈血栓症(DVT)と、いわゆるエコノミークラス症候群です。程度の差はあれ、珍しい病気ではありません。
僕個人としては2002年、日韓ワールドカップ直前に発症、闘病し復帰したサッカー選手の高原直泰選手が思い出されます
怖い名前ですが、ポイントを押さえると”今どうするべきか””受診したほうが良いのかどうか”ということが見えてきます。
一番大事なこと:足の痛みやむくみと共に息切れ・胸の痛みがあるときは救急受診が必要です
足の血栓が肺に流れると、肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)を起こすことがあります。次の症状がある場合は、迷わず救急要請や救急受診を検討してください。
・突然の息切れ、呼吸が苦しい
・胸の痛み、胸が締めつけられる感じ
・血痰、冷や汗、失神や強いめまい
「足のむくみ+息苦しさや胸の痛み」は、様子を見る場面ではなく、すぐに医療機関に受診しましょう。
深部静脈血栓症(DVT)とは?「足の深いところにある静脈」に血のかたまりができる病気です
DVTは、主にふくらはぎや太ももの深い静脈に血栓(血のかたまり)ができ、血の流れが滞る病気です。血栓そのものは外から目に見えませんが、静脈の流れが悪くなることで、腫れや痛み、熱っぽさなどが出ることがあります。問題は、血栓の一部がはがれて肺に飛ぶリスクがある点です。だからこそ「足の血栓が飛ぶ前に早めに対処する」ことが大切です。
“ただのむくみ”と見分けたい、DVTを疑うサイン
DVTは症状だけで確定診断を付けることは難しいですが、次のような場合には受診を急いだほうが良い場合が多いです。
・片足だけの急な腫れ、左右差がはっきりしてきた
・ふくらはぎの張り、押すと痛い、歩くと痛い
・皮膚が赤い/赤紫っぽい、触ると熱い感じがする
・最近「長時間座りっぱなし」や「動けない期間」があった
・経口避妊薬(低用量ピルなど)血栓ができやすい薬を飲んでいる
一方で、両足が夕方にむくんで朝に軽くなる、塩分が多かった日だけ悪化する、という経過は、体質や生活習慣によるむくみを疑う症状で、血栓が関与している可能性は高くはありません。ただ、むくみの原因は様々であり、元々お持ちの病気やお薬の影響などが悪影響を及ぼしていることもあるため、「いつもと違うむくみだな」と感じたら早めにご相談ください。
→【医師が解説】浮腫 その1 足のむくみが気になる方へ~考えられる原因と見逃せない病気とは?~ 浮腫の原因に関してはこちらの記事もご覧ください。
きっかけは飛行機だけではありません—リスクが重なると起こりやすくなります
エコノミークラス症候群という呼び名のため、飛行機の病気と思われがちです。そしてビジネスクラスに乗っていても発症することはあります。
血栓を引き起こす誘因は「長時間同じ体勢でいる」「脱水傾向である」などの「血が固まりやすい状態」が重なることです。新幹線や車、在宅ワーク、入院後・手術後、けがで動けなかった期間でも起こりえます。整形外科の術後などは深部静脈血栓症の好発するタイミングです。
高血圧・糖尿病・肥満・喫煙、がんの治療中、ホルモン療法、妊娠・産後、ピルを内服している、静脈瘤、過去の血栓歴などがある方は、とくに注意が必要です。
受診前にチェックしておくと役立つ「メモ」
診察では、症状だけでなく”背景”がとても重要です。受診の前に、次に挙げることをメモしておくと診断がスムーズになります。
・いつから、どんな場面で腫れたか、きっかけがあったか
・痛みや熱感の有無、皮膚の色の変化、息切れや胸痛の有無
・最近の手術、けが、長期の安静、がん治療、ホルモン薬の使用
・普段飲んでいる薬(利尿薬、ピル、抗凝固薬など)
クリニックで行う検査:血液検査と下肢静脈エコーを行います
DVTが疑われるときは、まず問診・診察で、DVTが疑われるかどうか、緊急性があるかどうかを判断し、必要に応じて検査を行います。
・Dダイマー:血栓ができて体内で分解される過程で上昇する項目で、血液検査で調べることが出来ます。値が低い場合は血栓がある可能性が低いと言えます。一方で、感染症や炎症、手術後、けが、妊娠、高齢などでも少し上昇することがあり、数値だけで確定診断はできません。症状や血栓症のリスク、エコー所見と合わせて評価します。
・下肢静脈エコー(超音波):足の静脈の血栓や血流を確認でき、体への負担が少ない検査です。
呼吸症状などから肺塞栓症が疑われる場合は、病院での画像検査(造影CTなど)が必要になることがあります。肺塞栓症が疑われる場合には、心臓超音波検査を行う場合もあります。
自宅での注意点:「揉む」「強く押す」は避け、迷ったら早めに相談を
むくみが気になると、マッサージなどで押したり揉んだりしたくなる方が少なくありませんが、DVTが疑われる状況では、強く揉む・押すといった自己流ケアは血栓が肺の血管に飛んでいくリスクを高めることがありますので、控えてください。水分をこまめに取り、きつい服装を避け、可能な範囲で足首を動かす程度にとどめましょう。痛みが強い、急に悪化する、息切れや胸の症状がある場合は、我慢せず医療機関へ受診してください。
予防:長時間移動の際には「足を適度に動かす」と「水分を多めに摂る」を心がけましょう
予防の基本は、座りっぱなしを避けることです。30〜60分に一度は足首を上下に動かし、可能なら通路などを少し歩きましょう。
水分はこまめに摂るようにして、アルコールは脱水につながりやすいため控えめにしましょう。
リスクが高い方では弾性ストッキングが血栓予防に役立つこともありますが、既に血栓がある場合には弾性ストッキングの装着は避けた方が良いと言われています。自己判断で始めず、かかりつけ医に相談してから装着するようにしましょう。
本多内科医院から:不安な「むくみ」は一度ご相談ください
足のむくみは、よくある症状だからこそ、重大な病気が見逃されやすいサインでもあります。
当院)では、総合内科・循環器内科の立場から、むくみの背景にある病気を漏らさないように診療を行い、必要に応じて下肢静脈エコーを行い、CTの撮影が可能な医療機関と連携して評価を進めていきます。
予約なしでも受診いただけますので、「救急にかかるほどではないけれど、放っておくのは怖い」「いつものむくみと違うので、気になっている」場合には、早めにご相談ください。
参考文献
• 2017 厚生労働省. エコノミークラス症候群の予防のために(災害・危機管理).
• 2018 Lim W, et al. American Society of Hematology 2018 guidelines for management of venous thromboembolism: diagnosis of venous thromboembolism. Blood Advances. 2018.
• 2021 Stevens SM, et al. Antithrombotic Therapy for VTE Disease: Second Update of the CHEST Guideline and Expert Panel Report. CHEST. 2021.
• 2021 済生会. 深部静脈血栓症(DVT)(2021.05.12公開).
• 2025 日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会 合同ガイドライン. 2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン(2025年3月29日発行、2025年12月12日更新).
📞 電話:045-755-3039
📧 メール:mychondaiin@gmail.com
🏥 診療科:内科、循環器内科
🔷 日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器内科専門医
📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)
この機会に下記の当院公式LINEをご登録ください。
ワクチンの予約に使用できる他、今後多方面での展開を考えております。
監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介

