「下の血圧が高い」…血圧の薬は必要?(循環器内科専門医が解説)
「下の血圧が高い」と言われたらどうすればいい?
健診や家庭血圧で「下の血圧(拡張期血圧)が高い」と出ると、「上の血圧は高くないけど、すぐ降圧剤が必要なの?」と心配になる方が多いです。 結論から言うと、薬が必要かどうかは“血圧の数字だけ”で決まりません。測り方、家庭血圧の傾向、年齢、合併症、そして“隠れた原因”の有無で判断が変わります。そもそも「下の血圧」が高いとは?
高血圧は、診察室で140/90mmHg以上、家庭で135/85mmHg以上がひとつの目安になります。 上がそれほど高くないのに下だけ高い状態は「孤立性拡張期高血圧(IDH)」と呼ばれることがあります。若い世代〜働き盛りで見られやすい一方、年齢とともに血圧の出方は変化します。放置してよい?—「様子見」で失敗しやすいパターン
下の血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかりやすくなります。問題は、自覚症状が出にくいことです。「忙しいから後回し」「家ではたまにしか測らない」という方ほど、いつの間にか上の血圧も上がっていたり、腎臓・ホルモンの病気など“別の原因”が隠れていたりします。血圧の薬が必要かを決める「3つの確認」
① まず“正しく測れているか”
家庭血圧は、朝(起床後、排尿後、朝食前、服薬前)と夜(就寝前)に、座って少し落ち着いてから測ることが勧められています。可能なら1回だけでなく複数回の記録が役立ちます。 血圧は1日の中でも変動しますので、測り方によって数字が変わってくることも珍しくありません。② 「家庭ではどうか?」(白衣高血圧/仮面高血圧)
病院で高く出るだけの人もいれば、逆に病院では正常でも家庭で高い人もいます。薬の必要性は、家庭血圧でも「高血圧」が続いているかどうかを確認してから判断する必要があります。③ 「合併症や背景疾患」がないか
糖尿病、腎臓病、脂質異常症、喫煙、睡眠時無呼吸が疑われる場合などは、同じ血圧でも考え方が変わります。 また、若い方で下だけ高い場合は二次性高血圧(腎臓・ホルモンなど)が隠れていることもあるため、薬に対して反応が悪い場合や血圧が異常に高い場合は評価が必要です。最新研究から分かってきたこと
2025年にEuropean Heart Journalで、IDHを含む大規模データを解析した研究が報告されています。 1.「収縮期は正常でも拡張期が高い人(IDH)に対する降圧治療は、主要心血管イベントを減らす効果が“他の人と同程度”と報告された。」 2. 「“下が低いと危ないのでは”という懸念(Jカーブ)についても、拡張期血圧が低い層まで含めて効果が弱まる明確な所見は示されなかった。」 ということが重要なメッセージとして提示されました。 要点は、「IDHでも血圧を下げる治療が心血管イベント予防に役立つ可能性が示された」ということです。ただし、すべての人に一律で薬が必要、という意味ではありません。年齢、症状、リスクを見て“血圧の薬が必要な方”に処方することが大切です。
こんな症状があれば早めに受診してください
血圧が高いだけでは症状が出ないことも多いですが、緊急で対処が必要な状況もあります。緊急での対処が必要な場合に関しては下記の記事もご覧ください。当院でできること
本多内科医院では、予約なしで受診できます。 循環器内科専門医が、「薬を始めるべきか」「生活改善でどこまで様子を見るか」を一緒に整理します。よくある質問(FAQ)
Q1. 外来に行く前に、家で何をチェックすればいいですか?
A. まずは1週間ほど、朝と夜の家庭血圧を記録してみてください。測るタイミングをそろえると(朝:起床後〜朝食前、夜:就寝前)より正確な血圧測定になります。 あわせて、睡眠・飲酒・ストレスが強い日もメモしておくと原因の手がかりになります。Q2. 健診で1回だけ「下が高い」と言われました。すぐ薬ですか?
A. 血圧は複数回測って高い場合に高血圧と判断します。家庭血圧の測定、他のタイミングでも測って、高い状態が続いているかどうかを確認しましょう。Q3. すでに薬を飲んでいて「上は下がったのに下だけ高い」場合は?
A. 脳心血管疾患のリスクが高い方は、治療を強化する必要があります。脳卒中や心疾患の既往がある方は注意が必要です。横浜市神奈川区で「下の血圧が高い」が気になったら
参考文献
- • 日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019(一般向け資料・家庭血圧/診断基準の考え方を含む).
- • Bidel Z, et al. Blood pressure lowering in isolated diastolic hypertension and cardiovascular risk: an individual patient data meta-analysis. European Heart Journal. 2025.
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🏥 診療科:内科、循環器内科
🔷 日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器内科専門医
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