内科・循環器内科専門医 本多内科医院
こんな経験はありませんか?
慢性腎臓病(CKD)は、初期には自覚症状がほとんどありません。健診の数値で初めて気づくことが多く、「大げさかな」と受診をためらう方も少なくありません。ただ、放置していると腎機能の低下が進み、透析や心臓・血管の病気のリスクが高まることがわかっています。まず現在の状態を確認し、「特に治療は必要ないのか」「どれくらいの頻度で経過観察する必要があるのか」を把握することが大事です。
予約なしでも受診いただけます。健診結果・お薬手帳をお持ちの方はご持参ください。
健診結果を見て「クレアチニン高め」という一言が気になり、受診される方は多くいらっしゃいます。腎臓が悪いといわれると、透析という言葉などが頭をよぎり、不安になるのは当然のことです。重要なことは「eGFRはどのくらいか」という点です。
クレアチニンが少し高め・eGFRが低め・尿たんぱく陽性のどれかに当てはまる方は、健診結果を持って内科を受診してください。「大げさかな」と思う必要はありません。今の状態を確認して、適切な対処をしましょう。過去の健診結果があればあわせてお持ちください。
eGFRの値をもとに、G1からG5の5段階に分類されます。ステージが上がるほど腎機能が低下しており、G4以降では腎臓専門医と連携しながら、将来の透析・腎移植・保存的治療について相談を始める時期です。なお、G1・G2はeGFRだけではCKDとは限らず、尿たんぱく・尿アルブミン・血尿・画像検査での腎臓の異常などの腎障害がある場合にCKDとして扱います。
| ステージ | eGFR(mL/分/1.73㎡) | 状態のめやす | この時期に大切なこと |
|---|---|---|---|
| G1 | 90以上 | 腎機能は保たれています。ただし、eGFRだけではCKDとは限らず、尿たんぱく・尿アルブミン・血尿・画像異常などの腎障害がある場合にCKDに該当します。 | 原因の特定と生活習慣の見直し |
| G2 | 60〜89 | 正常〜軽度低下です。ただし、eGFRだけではCKDとは限らず、尿異常などの腎障害がある場合にCKDとして扱います。自覚症状はほぼありません。 | 血圧・血糖・脂質の管理。定期的な検査 |
| G3a | 45〜59 | 軽度〜中等度の低下。この段階でも症状がないことが多い | 食事・薬剤の見直し。専門医への相談を検討 |
| G3b | 30〜44 | 中等度〜高度の低下。貧血・血圧悪化などが出てくる場合も | 専門医との連携。合併症の管理が必要に |
| G4 | 15〜29 | 高度の低下。倦怠感・食欲低下などの症状が出やすくなる | 腎臓専門医と連携しながら、将来の透析・腎移植・保存的治療について相談を |
| G5 | 15未満 | 末期腎不全。老廃物を自力で排泄できない状態 | 症状や検査結果に応じて、透析・腎移植・保存的腎臓療法を検討する段階 |
eGFR 45〜59(G3a)の段階は、腎機能が健常の半分以下になっていることもあります。この時期に血圧・血糖・たんぱく尿をきちんと管理できるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。G3a以降では、腎臓専門医への相談を検討することが推奨されています。
腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。機能が半分以下に低下していても、自覚症状が出ないことは珍しくありません。初期(G1〜G3a程度)であれば、ほぼ無症状のまま経過することが多く、健診の採血や尿検査で偶然見つかるケースがほとんどです。
「症状がないから腎臓は大丈夫」という判断は、CKDにはあてはまりません。症状がないうちに気づいて対処することが、「今以上に腎臓を悪くしないこと」ことにつながります。
腎機能が低下すると余分な水分や塩分を排泄しにくくなります。ただし、むくみは心不全・静脈の病気・薬剤の影響など様々な要因によって起こるため、原因を調べる必要があります。
夜中に何度もトイレに起きる、尿が泡立つ(消えにくい泡はたんぱく尿のサインであることがある)といった変化は、腎臓のサインであることがあります。腎臓が尿を濃縮する能力が低下することが原因と言われています
腎機能の低下が進むと、造血に必要なホルモン(エリスロポエチン)の分泌が減って貧血(腎性貧血)が起こります。朝の血圧が高くなることも、CKDのサインのひとつです。
腎臓そのものの病気だけでなく、生活習慣病がCKDの背景にあることが非常に多くなっています。
腎臓のフィルター(糸球体)に炎症が起きる病気です。血尿・たんぱく尿が続く場合に疑われ、確定診断には腎生検が必要なことがあります。
そのほか、多発性嚢胞腎(遺伝性)、鎮痛剤・一部のサプリメントの長期使用なども原因になることがあります。また、肥満・喫煙・運動不足・塩分過多はCKDの発症と進行に関係するとされており、CKDの診療では生活習慣の見直しも治療の基本になります。
「何をされるかわからなくて不安」という声は多いです。初回受診で行う主な検査をまとめます。
クレアチニン・eGFR・BUN(尿素窒素)・電解質(カリウムなど)・尿酸・血糖・HbA1c・脂質・貧血の有無を確認します。過去の健診データと比べてeGFRの変化速度も確認します。
たんぱく尿・血尿・尿たんぱく/クレアチニン比(随時尿でたんぱく量を推定)・尿沈渣を確認します。糖尿病がある場合は尿アルブミン/クレアチニン比も重要な指標になります。
血圧測定に加え、必要に応じて心電図や心エコーなど循環器の評価も行います。CKDと心血管病は密接に関係するため、腎機能だけを見るのでは不十分です。
腎臓の大きさ・形・石・腫瘍の有無などを確認します。多発性嚢胞腎など画像で特徴的な変化がわかる病気もあり、原因の絞り込みに役立ちます。
結果によっては、24時間蓄尿(より正確なたんぱく排泄量を測る)や、腎生検(確定診断のために腎組織を採取する検査)が必要になることがあります。これらの精密検査が必要と思われる場合には、腎臓内科の専門医療機関へご紹介します。
慢性腎臓病(CKD)は、特定の病名ではなく「腎機能が慢性的に低下した状態の総称」です。原因はさまざまですが、診断には共通の基準があります。
日本腎臓学会の診療ガイドラインでは、次の①または②の状態が3か月以上持続することで診断されます。
簡単に言うと 「腎臓の異常が3か月以上続いている状態」 です。
1回の検査で数値が高くても、すぐCKDと診断されるわけではありません。脱水・発熱・激しい運動・薬剤の影響で一時的に変動することがあるためです。逆に言えば、1回だけ異常が出た場合でも「3か月後にまた確認する」という理由がここにあります。放置せず、再検査を受けることが診断にも必要です。
CKDは日本に約1,480万人いるとされており、20歳以上の7〜8人に1人という割合です(CKD診療ガイドライン2023)。「新たな国民病」とも呼ばれていますが、多くの方は自覚症状がないまま健診で気づくのが現状です。
クレアチニンは、筋肉がエネルギーを使う過程で出てくる老廃物です。通常は腎臓でろ過されて尿として排出されますが、腎機能が低下するとろ過しきれずに血液中に蓄積されます。この血液中の濃度を「血清クレアチニン値」として測定します。
ただし、クレアチニンは筋肉量の多い人ほど産生量が多いため、数値が高くても必ずしも腎機能が悪いとは言い切れません。体格の大きい男性や運動習慣のある人は、腎機能が正常でも高めに出ることがあります。そこで使われるのがeGFRです。
eGFR(推算糸球体濾過量)は、血清クレアチニン値・年齢・性別から算出する指標です。腎臓が1分間に血液をどれだけろ過できるかを推定した値で、健康な成人ではおよそ80〜100mL/分/1.73㎡が目安です。eGFRが低いほど、腎臓のろ過機能が低下していることを意味します。
| 検査項目 | 何を測っているか | 受診時のポイント |
|---|---|---|
| クレアチニン | 腎臓が処理できずに残った老廃物の量。腎機能低下のサインになる。 | 筋肉量・年齢・性別の影響を受けるため、eGFRとあわせて判断する。 |
| eGFR | クレアチニン・年齢・性別から推算する腎機能の目安(mL/分/1.73㎡)。 | 60未満が3か月続く場合はCKDを考える。45未満では専門医療機関への紹介を検討する。 |
| 尿たんぱく | 腎臓のフィルター(糸球体)に障害があると、たんぱくが尿に漏れ出す。 | 1+以上が続く場合、または蛋白量が多い場合は精査が必要。eGFRとは別にリスクの指標になる。 |
| 尿潜血 | 尿に血液成分が混じっていないかを確認する。 | たんぱく尿を伴う血尿や肉眼でわかる血尿は、原因の精査が必要になる。 |
CKDには、大きく2つのリスクがあります。どちらも「すぐ起こること」ではありませんが、早期から管理することで進行を遅らせられる可能性があります。
腎機能が末期まで低下すると、腎臓に代わって血液をきれいにする透析(血液透析)が必要になります。現在、全国で約34万人以上が透析を受けており(2022年末時点)、週3回・1回4〜5時間の通院が生活の中心になります。
透析に至るまでには長い時間がかかるケースが多く、早い段階で腎機能の低下を抑えることが、将来の透析を遠ざけることにつながります。
CKDは「腎臓だけの問題」ではありません。eGFRが低いほど、またたんぱく尿が多いほど、心筋梗塞・心不全・脳卒中などの心血管疾患のリスクが高くなることがわかっています。
実際に、CKDの方が透析に至る前に心血管の病気で亡くなるケースは珍しくありません。腎臓だけではなく心臓や血管の病気を一緒に管理することが、重要である理由はここにあります。
不安になってインターネットで調べると「透析」という言葉が目に飛び込んでくることがあります。ただ、今の腎機能の段階と、進行しやすい状態かどうかを確認するのが先です。
今回の健診結果に加え、過去1〜3年分の検査データがあれば経年変化を確認できます。お薬手帳・サプリメントの情報もあわせてお持ちください。
健診の数値が本当に腎機能の低下を反映しているのか、一時的な変化なのかを再検査で見極めます。同時に、高血圧・糖尿病など背景にある病気も確認します。
腎機能の低下スピード・たんぱく尿の量・血圧・糖尿病の有無をもとに、内科での管理で対応できるか、腎臓専門医への紹介が必要かを判断します。
CKDの治療は「腎機能を一気に回復させる」ものではなく、「低下の速度をできるだけゆるやかにする」ことが主な目標です。薬だけで解決できるものでもなく、生活習慣の見直しが土台になります。
早い段階から対処を始めるほど選択肢は広がります。「G3aになってから慌てて始める」より、「G2のうちに血圧と食塩を見直す」ほうが、長い目で見ると差が出やすいのが現実です。
CKDでは血圧管理が腎保護に直結します。特にたんぱく尿がある場合は、目標がより厳しくなります。家庭血圧を毎朝測る習慣が、管理の第一歩です。
糖尿病性腎臓病は透析の原因第1位です。尿アルブミンの定期的な確認と血糖管理が、腎機能保護につながります。
塩分を控えることで血圧が下がり、腎臓への負担が減ります。たんぱく質制限はステージや状態によって異なり、軽症段階では過度な制限は不要なことが多いです。
喫煙はCKDの進行を早めます。市販の痛み止め(NSAIDs)の多用は腎臓への負担になるため、腎機能が低下している場合は使用前に相談してください。
ACE阻害薬・ARBなどのRAS阻害薬はたんぱく尿の減少と腎保護効果があります。近年はSGLT2阻害薬(もともと糖尿病薬)がCKDの進行抑制に有効とされ、使われる機会が増えています。
eGFRの低下スピードとたんぱく尿の増減を定期的に確認することで、治療が効いているかどうかを判断します。受診の間隔は病期と状態によって変わります。
当院では、健診結果の再確認・生活習慣病の管理・定期的なフォローを行います。以下の状況では、腎臓内科専門医療機関への紹介を検討します。
eGFR 45未満(G3b以降)では、たんぱく尿の有無にかかわらず専門医への紹介を検討します。
たんぱく尿が強い、糖尿病で尿アルブミンが増加している場合は、原因を精査する必要があります。
3か月以内に腎機能が30%以上低下するような場合は、速やかな専門医療機関への相談が必要です。
「受診するほどでもないかな」と迷っている方も、健診結果を持ってお越しください。今の状態を整理したうえで、次にすべきことをご説明します。神奈川区・反町・東神奈川周辺から、多くの方がご相談に来られています。
予約なしでも受診いただけます。健診結果・お薬手帳をご持参ください。クレアチニン1.1mg/dLがすぐ透析につながることはほとんどありません。ただし、年齢や性別によってeGFRへの換算値が大きく変わります。たとえば70歳女性でクレアチニン1.1mg/dLなら、eGFRは40台になることもあります。「クレアチニンの数字だけ」ではなく、eGFRと尿たんぱく・過去からの変化を一緒に確認することが重要です。
eGFR 58(G2〜G3a境界)は、この状態が3か月以上続いているかどうかが診断のポイントになります。1回だけの値で確定するわけではないため、再検査と過去のデータとの比較が必要です。一時的な低下である可能性もありますし、悪化している途中であるという可能性もありますので、早めに受診して現状を把握することを勧めます。
たんぱく尿は、腎臓のフィルターに負担がかかっているサインです。1回だけの(+)は、発熱・激しい運動・脱水で出ることもあります。問題になるのは「続いているかどうか」です。eGFRが正常でも、たんぱく尿が持続していればCKDの診断基準を満たす場合があります。また、たんぱく尿の量は心血管リスクの独立した指標にもなるため、軽視せず、再検査で確認することが大切です。
CKDで症状が出るのは、多くの場合かなり進行してからです。G3aまで症状がないことは珍しくありません。「症状がないから受診しなくていい」ではなく、「症状がないうちに状態を把握して対処する」ことが、透析を遠ざけることにつながります。健診の異常は、症状が出る前に気づける数少ない機会のひとつです。
ステージによって大きく異なります。G1〜G2の段階では、過度なたんぱく質制限は必要ないことがほとんどです。むしろ、塩分制限(1日6g未満)と血圧管理が優先されます。たんぱく質の厳格な制限が必要になるのはG3b以降が多く、その場合も栄養不足にならないよう医師・管理栄養士と相談しながら進めます。自己判断での極端な食事制限は逆効果になることがあります。
健診でクレアチニンが少し高め・eGFRが低め程度の段階であれば、まず内科での再検査・評価で問題ありません。当院では、かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準を参考にしながら、eGFR、尿蛋白・尿アルブミン、血尿の有無、腎機能低下のスピードを確認し、必要に応じて腎臓専門医・専門医療機関へご紹介します。特に、eGFR 30未満、尿蛋白が多い場合、血尿と蛋白尿が両方続く場合、短期間で腎機能が悪化している場合は、専門的な評価が必要です。その際には、紹介状を作成してご案内します。
市販のロキソプロフェン・イブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、腎血流を減らして腎機能を悪化させることがあります。腎機能が低下している場合は特に注意が必要です。頭痛・腰痛などで鎮痛薬を使う際は、事前に医師に相談してください。アセトアミノフェン(カロナールなど)のほうが腎臓への負担が少ないとされていますが、これも用量と頻度の問題があります。「トリプルワーミー(Triple Whammy)」と言われる、特定の3種類の薬(RAS阻害薬、利尿薬、NSAIDs)の組み合わせは腎機能悪化につながるので注意が必要です。