このページでわかること
心臓超音波検査(心エコー)とは
心臓超音波検査(心エコー)は、胸に超音波のプローブ(探触子)を当てて、心臓の形・動き・弁の開閉・血液の流れをリアルタイムで観察する検査です。レントゲンやCTと異なり放射線を使わないため被ばくはなく、検査中の痛みもありません。
心臓が十分な力で血液を送り出せているか、弁に異常がないか、心臓が大きくなっていないか、心不全の原因がどこにあるかなど、心電図や血液検査だけではつかみにくい「心臓の構造と動き」を直接確認できる点が特徴です。
当院では、循環器内科専門医の院長が診察内容を踏まえてその必要性を判断し、なるべく当日に検査を行います。結果は診察室で院長がわかりやすく説明します。
胸にゼリーを塗り、超音波のプローブを当てるだけです。注射や切開はなく、検査中に痛みを感じることはありません。
レントゲンやCTと異なり、放射線を使わない検査です。繰り返し行っても身体への影響はありません。
検査自体は概ね15〜30分です。診察と結果説明を含めると、初診の場合は60〜90分程度を見ておくとよいでしょう。
診察の内容に応じて、なるべく同じ日のうちに検査を行います。検査の混み具合によっては別の日にお願いする場合もあります。
検査後に院長が画像を確認し、心臓の状態をわかりやすくご説明します。疑問点はその場でご質問ください。
健診結果、紹介状、過去の検査記録(心エコーの画像・レポートなど)、お薬手帳をお持ちの方はご持参ください。
費用・保険について
| 保険適用 | 息切れ・むくみ・胸痛・心雑音など、医師が必要と判断した場合は健康保険が使えます。 |
|---|---|
| 自己負担の目安 | 心エコー単独で概ね1,000〜3,000円程度(保険診療の場合、診察料・その他の検査費用は別途)。 |
| 健診・自費 | 健康診断や人間ドックのオプションとして自費で受ける場合は、料金が異なります。詳しくはお問い合わせください。 |
※上記はあくまで目安です。診察内容・併用する検査・加入している保険の種類によって異なります。
来院時の準備・注意点
特別な前処置は不要です。普段通りにお越しください。
胸を露出しやすい服装が望ましいです。前開きのシャツや着脱しやすいトップスをお勧めします。胸部に湿布を貼っている場合は、検査前に剥がしていただく場合があります。
食事や水分の制限はありません。普段通りにお食事のうえでご来院ください。お薬も通常通り服用して問題ありません。
以前に心エコーや心電図を受けたことがある方は、レポートや画像データ(CD-Rなど)をお持ちいただけると、比較がしやすくなります。
他院からの紹介状、健診結果、お薬手帳があればご持参ください。弁膜症や心臓手術後の経過観察の方は手術に関する資料もあると参考になります。
心エコーでわかること
心エコーでは、心臓の「動き」「大きさ」「弁」「血流」を一度に確認できます。症状の原因を探したり、治療効果を見たりするうえで重要な検査です。
心臓の収縮力(EF値)
心臓が1回の拍動で送り出す血液の割合(駆出率/EF)を測定します。心不全の診断や、心筋梗塞後の心機能評価に欠かせない指標です。
弁の状態(弁膜症の評価)
大動脈弁・僧帽弁・三尖弁などの狭窄や逆流を見ます。弁膜症の有無と重症度を判断するうえで最も重要な検査です。
心臓の大きさ・壁の厚み
心拡大や心肥大がないかを調べます。長年の高血圧や心不全によって心臓に負担がかかっていないかを確認します。
血液の流れ(ドプラ法)
カラードプラを使って、弁の逆流や狭窄の程度、心臓内の血流異常を可視化します。弁膜症の重症度評価に役立ちます。
心臓の「拡張機能」
収縮力が保たれていても、心臓が硬くなって十分に広がれない「拡張不全」があります。HFpEFと呼ばれる心不全の診断に重要です。
心不全の原因の特定
息切れやむくみが心臓由来かどうか、その原因が弁膜症なのか心筋の問題なのかを区別するために行います。
心嚢水(心臓周囲の液体)
心臓を包む袋(心嚢)に液体がたまっていないかを確認します。炎症や感染症、腫瘍などで起こることがあります。
心臓手術・カテーテル後の評価
弁膜症手術後の人工弁の状態、経カテーテル的大動脈弁置換(TAVI)後の経過確認など、術後フォローにも使います。
心房・心室の形と動き
心房細動では左心房が大きくなることがあります。不整脈の治療方針を考えるうえでも、心臓の形の確認が役立ちます。
こんな症状・きっかけで受診されています
「これくらいで受診してもいいのかな」と迷う方もいらっしゃいます。以下のような症状や指摘があれば、一度ご相談ください。症状が軽くても、心臓に変化が出始めていることがあります。
階段や坂道で以前より息切れしやすくなった、横になると息苦しくて眠れないなど。心不全や弁膜症が関係していることがあります。
両足がむくむ、靴下の跡がなかなか消えない、急に体重が増えたなど。心臓のポンプ機能の低下を確認します。
胸が締め付けられる、重い感じがする、階段を上ると胸が痛くなるなど。虚血性心疾患や弁膜症の評価に役立ちます。
健診や診察で「心臓に雑音がある」と言われた場合、弁膜症(特に大動脈弁狭窄症や僧帽弁逆流)の有無を確認します。
左室肥大・ST変化・心筋梗塞疑いなどを指摘された場合、心臓の構造や動きを確認します。
心房細動など不整脈の治療方針を考える際に、心臓の大きさや機能を確認することがあります。
コントロールが難しい高血圧や、長期にわたる高血圧では、心臓への負担(心肥大)を調べることがあります。
すでに弁膜症や心不全と診断されている方の定期確認。重症度の変化を追うことで、手術や治療の判断に役立てます。
弁置換・バイパス手術・TAVI後など、術後の経過を確認します。他院で手術を受けた方も受け入れています。
心エコーで評価できる主な病気・心臓の状態
心エコーは、循環器疾患の診断から重症度の評価、治療後の経過観察まで幅広く活用される検査です。
心不全
心臓の収縮機能(HFrEF)と拡張機能(HFpEF)の両方を評価します。息切れ・むくみの原因が心臓かどうかを判断する第一歩です。
弁膜症(大動脈弁・僧帽弁など)
弁の狭窄・逆流の程度を評価し、経過観察や手術のタイミングを検討します。心雑音を指摘された方に必須の検査です。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
心筋梗塞後の心臓の動きの低下(壁運動異常)を確認します。狭心症の疑いがある場合も、心機能の評価に使います。
心房細動・不整脈
心房の大きさや心機能を確認します。心房細動の治療(カテーテルアブレーションなど)の前後にも行われます。
高血圧による心肥大
長期の高血圧で左室の壁が厚くなっていないかを確認します。降圧薬の治療効果を見るためにも役立ちます。
心筋症(肥大型・拡張型など)
心臓の筋肉自体に異常がある心筋症の診断・経過観察に欠かせません。突然死のリスク評価にも関わります。
当院での検査の流れ
ご来院・問診
受付後に問診票をご記入いただきます。現在の症状、これまでの病歴、服用中のお薬、他院での検査内容などをお聞かせください。
院長による診察
循環器内科専門医の院長が診察を行い、心エコーが必要かどうかを判断します。聴診で心雑音の有無なども確認します。
心エコー検査(10〜20分)
検査室のベッドに横になり、胸にゼリーを塗ってプローブを当てます。仰向けや左向きの姿勢で、複数の方向から心臓を観察します。痛みはありません。胸部に付着したゼリーは終了後に拭き取ります。
院長による結果説明
検査画像を確認した院長が、診察室でわかりやすく結果をご説明します。「心臓の動きはどうか」「弁に異常はないか」「治療が必要な状態かどうか」など、具体的にお伝えします。
治療・経過観察の方針を決定
異常があれば、その日のうちに治療方針をご相談できます。薬の開始・変更、追加の検査(ホルター心電図・血液検査など)、定期的な経過観察の間隔、必要に応じて専門医療機関への紹介など、状態に合わせて対応します。
結果に応じた治療・フォローアップ
心エコーの結果は、治療方針を決めるうえで重要な判断材料になります。症状・生活習慣病の状態・病歴をあわせて総合的に判断します。
心不全が疑われる場合
BNPなどの血液検査・胸部レントゲンも組み合わせて評価します。薬物治療(利尿薬・心不全治療薬など)と生活指導を開始し、悪化を防ぎます。
弁膜症が見つかった場合
軽度〜中等度であれば定期的な心エコーで経過を追います。重症度が増してきた場合や症状が出てきた場合は、手術適応の相談のために専門病院へご紹介します。
心臓の動きが弱い場合
虚血性心疾患・心筋症・心筋炎などの原因を探りながら、薬物治療と追加検査(冠動脈CT・心臓MRIなど)を検討します。
不整脈に伴う心臓の変化
心房細動で左心房が大きくなっているケースなど、心エコーとホルター心電図の結果をあわせて治療方針を決めます。
高血圧による心肥大
降圧薬の種類・用量の調整や塩分制限などの生活指導を行い、心肥大の改善や進行予防を目指します。
明らかな異常がなかった場合
今すぐ治療が必要な所見がなくても、症状が続く場合は別の原因(貧血・甲状腺疾患・肺疾患など)を検索します。症状に関しては経過を追わせて頂きます。
受診の目安
- 階段や坂道で息切れしやすくなってきた
- 足がむくむ、靴下の跡がなかなか消えない
- 横になると息苦しい、夜中に呼吸苦で目が覚める
- 胸の痛みや圧迫感・違和感がある
- 健診や診察で心雑音を指摘された
- 心電図異常(左室肥大・ST変化・心筋梗塞疑いなど)を指摘された
- 弁膜症・心不全・心臓手術後で定期検査が必要
- 急に息苦しくなった・安静にしていても呼吸が苦しい
- 強い胸痛、冷や汗を伴う胸部不快感
- 意識が遠のく、気を失った
- 急激な体重増加(数日で2〜3kg以上)
- 手足が急に冷たくなる・顔色が悪い
これらの症状は、心筋梗塞・急性心不全・重症弁膜症など、一刻を争う病気の可能性があります。当院に来院する前に、まず119番または近隣の救急外来にご連絡ください。
よくある質問
心エコー検査は痛いですか?着替えは必要ですか?
痛みはまったくありません。胸にゼリーを塗り、超音波のプローブを当てるだけです。検査着に着替えていただく場合もありますが、前開きのシャツや胸を出しやすい服装であれば着替え不要のこともあります。ゼリーは終了後に拭き取ります。
検査前に食事や運動の制限はありますか?
通常の心エコー検査では、食事・水分・運動の制限はありません。服用中のお薬も普段通りに飲んでいただいてかまいません。特殊な負荷心エコー検査を行う場合は事前にご説明します。
当日に検査できますか?予約は必要ですか?
診察内容に応じて、なるべく当日に検査を行います。予約なしでも診察後にそのまま検査できる場合があります。ただし、混み合っている場合や検査機器の状況によっては別の日にお願いすることもあります。事前にお電話でご確認いただくとスムーズです。
費用はどのくらいかかりますか?保険は使えますか?
息切れ・むくみ・胸痛・心雑音など、医師が必要と判断した場合は健康保険が適用されます。3割負担の場合、心エコー単独で概ね3,00円程度ですが、診察料や他の検査の費用が加わります。自費(健診・人間ドックオプション)で受ける場合の料金はお問い合わせください。
心電図やレントゲンと何が違いますか?
心電図は心臓の電気信号の記録です。不整脈や心臓の病気の影響があるかどうかを調べますが、心臓の「形」や「動き」はわかりません。レントゲンは心臓の大まかな輪郭や肺への影響を見るものです。心エコーはこれらとは異なり、心臓の動き・弁の状態・血流をリアルタイムに観察できます。複数の検査を組み合わせて診断することが多いです。
弁膜症と言われています。定期的に診てもらえますか?
もちろんです。弁膜症は軽度のうちは経過観察が基本で、定期的な心エコーで重症度の変化を追うことが重要です。「手術が必要な段階かどうか」「症状が出てきていないか」を確認しながら継続して診ていきます。他院で診断を受けた方も、対応可能です。検査データや紹介状があればお持ちください。
心臓の手術後ですが、経過観察をお願いできますか?
弁置換・バイパス手術・TAVI・カテーテル治療後の経過観察にも対応しています。手術に関する資料(退院サマリー・手術記録・以前の心エコーデータなど)があればご持参ください。手術を行った病院との連携が必要な場合はご相談のうえ紹介状を作成します。
異常が見つかった場合はどうなりますか?
院長が画像を確認しながら、その日のうちに結果をご説明します。薬物治療の開始・変更、追加検査(ホルター心電図・血液検査・冠動脈CTなど)、定期的な経過観察、手術が必要な場合の専門病院への紹介など、状態に応じた対応を行います
心エコーで異常がなければ、心臓の病気はないと考えてよいですか?
心エコーは心臓の構造と動きを調べる検査ですが、すべての心臓病をカバーするわけではありません。例えば、狭心症は安静時の症状がない状況では心エコーでは異常所見を認めないこともあります。不整脈も発作が出ていないときには正常という場合がありますので、ホルター心電図などで不整脈のチェックが必要です。症状が続く場合は、複数の検査を組み合わせて原因を調べていきます。

