高血圧と脳卒中・脳梗塞:前ぶれサイン・受診判断・予防
高血圧は、脳梗塞や脳出血といった脳卒中の大きな危険因子です。自覚症状がなくても、血管には少しずつ負担がかかり、動脈硬化や小さな血管の変化が進むことがあります。
この記事では、高血圧の方が知っておきたい脳卒中の前ぶれ、救急受診の判断、日頃の予防に絞ってお話しします。高血圧そのものの診断や治療については、高血圧外来の案内もあわせてご覧ください。
大切なのは、「血圧が高いこと」だけを見るのではなく、突然の神経症状を見逃さないことです。
脳卒中の前ぶれは「FAST」と「突然」が合図です
脳卒中は突然起こることが多く、次のような症状があるときは、治療までの時間が重要になります。
- F:顔のゆがみ――片側の口角が下がる、表情に左右差がある
- A:腕や脚の脱力――片側に力が入らない、腕が落ちてくる
- S:ことばの障害――ろれつが回らない、言葉が出ない、相手の話が理解しにくい
- T:発症時刻――いつから始まったかを確認する
さらに、突然の強い頭痛、ふらついて歩けない、片目が見えにくい、視野が欠けるといった症状も注意が必要です。めまいだけに見える場合でも、歩行困難やろれつの回りにくさを伴うときは脳卒中の可能性を考えます。
FASTのいずれかに当てはまる場合や、突然始まった強い神経症状がある場合は、119番を考えてください。
迷ったときは「症状の強さ」と「家庭血圧」で考えます
高血圧の方では、血圧の数字だけでなく、どのような症状を伴っているかが重要です。
救急要請を考える症状
- 顔のゆがみ、片側の手足の脱力、ろれつが回らない
- 歩けないほどのふらつきが突然出た
- 意識が遠のく、反応がいつもと違う
- 今までにない突然の激しい頭痛がある
発症時刻をメモし、お薬手帳を手元に置いて救急要請をしてください。血栓を溶かす治療やカテーテル治療などは、発症からの時間が重要になります。
当日中の受診をおすすめしたい症状
- 一時的にろれつが回らなかったが、その後改善した
- 片側のしびれや脱力が出たり消えたりする
- 片目の見えにくさ、視野の欠けが一時的にあった
- いつもと違う強い頭痛がある
症状が消えていても、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。短時間でよくなったから安全、とは言い切れません。
近日中に相談したい状況
家庭血圧の記録は、治療方針を決めるうえで大切な情報です。朝と夜の記録を持参していただくと、診療がスムーズです。
「症状が軽いから様子見」は危険なことがあります
TIAを起こした方の一部は、短期間で本格的な脳梗塞に移行します。時間が経つほど治療の選択肢は狭まり、後遺症が残る可能性も高くなります。
また、高血圧を放置すると、脳卒中だけでなく、心不全、心筋梗塞、狭心症、心房細動、下肢閉塞性動脈硬化症、腎機能低下のリスクにもつながります。
気になる症状が出たときに早めに相談することは、生活の質を守るための大切な行動です。
実際にあったご相談
70代の女性で、高血圧と糖尿病のため当院に通院中の方が、夕食後に一時的にろれつが回らなくなったため受診されました。1時間ほどで症状は改善していましたが、ご家族から見ても明らかに普段と違う様子だったとのことでした。
診察時には大きな神経症状は残っていませんでしたが、TIAを疑って総合病院へ紹介したところ、MRIで脳梗塞の所見が確認され、入院加療となりました。症状が消えたあとでも、受診していただいたことで次の対応につながった事例です。
今日からできる脳梗塞・脳卒中予防の実践
- 家庭血圧を記録する:朝と夜、安静にしてから測り、受診時に記録をお持ちください。
- 生活習慣を見直す:減塩、適正体重、無理のない有酸素運動、十分な睡眠、禁煙、節酒が基本です。
- 薬を自己判断で中断しない:血圧の薬は、症状がないときほど継続が大切です。
- 生活習慣病をまとめて管理する:高血圧だけでなく、糖尿病、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群も脳卒中予防に関わります。
生活習慣病全体の管理については、生活習慣病外来をご参照ください。血糖値やHbA1cが気になる方は糖尿病内科、コレステロールや中性脂肪が高い方は脂質異常症の案内も参考になります。
本多内科医院でお手伝いできること
- 予約なしで受診できます:気になる症状が出たときに相談しやすい体制を大切にしています。
- 循環器内科専門医が対応します:血圧だけでなく、脳心血管リスク全体を見ながら診療します。
- 総合病院と連携します:脳卒中やTIAが疑われる場合は、必要に応じてCT、MRIなどが可能な医療機関へ速やかにつなぎます。
- 検査と生活習慣病管理をあわせて行います:血圧、血糖、脂質、腎機能、動脈硬化の状態を確認しながら、再発予防・発症予防を支えます。
高血圧と脳卒中リスクを考えるときに行う検査
脳卒中が疑われる急性症状では、CTやMRIが必要になるため総合病院での評価が優先されます。一方、外来での予防やリスク評価では、次のような検査を組み合わせます。
- 血液検査:血糖、脂質、腎機能、電解質などを確認します。
- 尿検査:蛋白尿や腎臓への負担を調べます。
- 心電図検査:心房細動や不整脈、心臓への負担を確認します。
- ホルター心電図検査:発作的な不整脈が疑われるときに役立ちます。
- 頸動脈超音波検査(頚動脈エコー):首の血管の動脈硬化を確認します。
- ABI検査:足の血流や全身の動脈硬化の手がかりになります。
- 心臓超音波検査(心エコー):心房細動や心不全、弁膜症が関係していないかを確認する際に行います。
- 睡眠時無呼吸症候群の簡易検査:朝の血圧高値、いびき、日中の眠気がある方で検討します。
レントゲン検査は、息切れや心不全、肺の病気が疑われる場合に行うことがあります。
受診前に確認しておくと役立つこと
- 症状が始まった時刻
- どの症状が突然出たか(顔、手足、言葉、視界、ふらつきなど)
- 症状が続いているか、消えたか
- 直近の家庭血圧の記録
- 内服薬、サプリメント、アレルギーの有無
お薬手帳や、スマートフォンで撮影した血圧記録でも構いません。診察の助けになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 症状が一度おさまったら、様子見でよいですか?
A. おすすめできません。TIAの可能性があり、本格的な脳梗塞に移行することがあります。当日中の評価が必要になる場合があります。
Q2. 家で血圧が高いとき、薬を余分に飲んでから受診したほうがよいですか?
A. 自己判断の増量は避けてください。症状があれば救急要請を考え、症状が乏しい場合でも医師に相談してください。
Q3. めまいだけでも脳卒中のことはありますか?
A. あります。特に、突然の強いめまいに歩行困難、ろれつの回りにくさ、手足のしびれなどを伴う場合は注意が必要です。
Q4. 脳卒中予防のために、まず何から始めればよいですか?
A. 家庭血圧の記録、服薬継続、減塩、禁煙、糖尿病・脂質異常症の管理が基本です。続けやすい方法を一緒に考えていきます。
まとめ
- 高血圧は、脳卒中の重要な危険因子です。
- 顔のゆがみ、片側の手足の脱力、ろれつが回らない症状は、119番を考えるサインです。
- 症状が消えても、TIAの可能性があるため油断はできません。
- 予防には、家庭血圧の記録、服薬継続、生活習慣病の管理が欠かせません。
本多内科医院では、予約なしで受診でき、総合内科専門医・循環器内科専門医が血圧と脳心血管リスクを総合的に診療します。気になる症状がある方は、早めにご相談ください。
参考文献
- AHA/ASA. Guidelines for the Early Management of Acute Ischemic Stroke: 2019 Update to 2018. 2019.
- 日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕 改訂項目. 2025.
- AHA/ASA. 2024 Guideline for the Primary Prevention of Stroke. 2024.
- 日本高血圧学会(JSH). 高血圧治療ガイドライン2019.
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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介

