糖尿病の原因とは?「なる人・ならない人の差」を循環器内科専門医が解説
「同僚は自分より甘い物を食べているのに元気で、どうして自分だけ糖尿病になったのだろう」——そんな疑問を抱いたことはありませんか。糖尿病の原因は一つではなく、遺伝的な体質と、長年の生活習慣の積み重ねが組み合わさって発症します。
厚生労働省の令和6年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる人は約1,100万人(成人の約10人に1人)と推計され、予備群を含めるとさらに多くの方が該当します(注1)。20代から高齢者まで幅広い年代でみられる身近な病気ですが、糖尿病になる人とならない人には、いくつかのはっきりした違いがあります。原因を理解し、関係する生活習慣を見直すことで、発症の予防や改善が期待できます。
この記事では、糖尿病の原因とリスク要因に焦点を当て、日々の生活習慣や体質が血糖にどのように影響するのかを、横浜市神奈川区の本多内科医院(内科・循環器内科)が解説します。診断や治療の詳細は、文中の関連情報もあわせてご覧ください。
糖尿病とはどんな病気か
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の値が慢性的に高くなる病気です。通常、私たちの体は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで血糖値を一定の範囲に保っています。糖尿病では、このインスリンが不足したり、十分に効かなくなったりすることで血糖の調整が乱れ、高血糖の状態が続きます。
高血糖が続くと全身の血管が傷み、動脈硬化が進行して、さまざまな合併症を引き起こします。代表的なものに、失明につながる網膜症、腎不全による透析、手足のしびれなどの神経障害があります。さらに動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞、脳卒中のリスクも高まります。自覚症状が乏しいまま進行することから「サイレントキラー」と呼ばれることもあり、早めに自分の状態を把握しておくことが大切です。
糖尿病は原因によっていくつかの種類に分かれます。代表的なのは1型糖尿病と2型糖尿病です。1型は自己免疫の異常などにより、生活習慣とは関係なく膵臓のインスリン分泌が枯渇するタイプで、若年での発症が多くみられます。一方、日本人の糖尿病の大半を占めるのが2型糖尿病で、中高年以降に発症しやすく、生活習慣と深く関係するのが特徴です。この記事では主に2型糖尿病を念頭に、その原因を見ていきます。
なぜ血糖が上がるのか ― 糖尿病の原因となる2つの仕組み
2型糖尿病の原因を理解するうえで欠かせないのが、次の2つの仕組みです。多くの方では、この両方が少しずつ進むことで血糖が上がっていきます。
- インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
内臓脂肪が増えたり運動不足が続いたりすると、分泌されたインスリンが効きにくくなります。すると同じ血糖値を保つのにより多くのインスリンが必要になり、膵臓に負担がかかります。 - インスリンの分泌が減る(分泌低下)
膵臓が無理を続けると、やがてインスリンを十分に出せなくなります。日本人はもともと欧米人に比べてインスリン分泌能力が低めとされ、それほど太っていなくても糖尿病になりやすい体質的な背景があります(注2)。
つまり、「太っていないから大丈夫」とは限りません。体質(分泌低下)と生活習慣(抵抗性)の組み合わせが、糖尿病になる人とならない人の差を生んでいるのです。
糖尿病になりやすい人の特徴 ― 主な原因・リスク要因
2型糖尿病のリスクを高める要因は、生活習慣によるものと、体質や年齢によるものに整理できます。これらが多く重なるほど、発症しやすくなります。
| 要因 | 血糖への影響 |
|---|---|
| 食生活の乱れ | 食べ過ぎ・飲み過ぎ、甘い物や脂質の多い食事、野菜不足、朝食抜き、不規則な食事時間。過剰なカロリーは内臓脂肪を増やし、インスリンの効きを悪くします。 |
| 運動不足 | 体を動かす機会が少ないと、筋肉での糖の消費が減り血糖が下がりにくくなります。座っている時間が長い生活は、それ自体が独立したリスクです。 |
| 肥満(特に内臓脂肪型) | お腹周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満は、インスリン抵抗性を招きやすく、高血糖につながります。 |
| 加齢 | 年齢とともに膵臓の機能や筋肉量が低下します。国民健康・栄養調査でも、糖尿病が強く疑われる人の割合は加齢とともに高まり、特に60歳代以上で高い傾向が示されています。 |
| 遺伝的素因 | 近い親族に糖尿病の人がいると、血糖が上がりやすい体質が受け継がれることがあります。ただし生活習慣しだいで発症を防げる場合も多くあります。 |
| その他 | 喫煙、過度の飲酒、慢性的なストレス、睡眠不足。これらはホルモンバランスや食習慣を介して血糖を上げる方向に働きます。 |
リスク要因が少ない人ほど糖尿病になりにくく、多く抱える人ほど注意が必要です。たとえば「肥満気味で運動習慣がなく、甘い飲料を毎日飲む」という方は、今は正常でも将来の発症に注意が必要です。逆に、適正体重を保ち、バランスの良い食事と運動習慣がある方は、リスクをかなり下げられます。
「自分は危ない生活をしてきた」と感じた方も、悲観する必要はありません。今リスクが高くても、生活習慣を見直すことで将来の発症を防げる可能性は十分にあります。次に、それを実感できる実際のケースをご紹介します。
症例:生活習慣の違いで分かれた双子の健康
遺伝的な素因が共通していても、生活習慣で経過が大きく変わることを示すケースです。Aさん(55歳・男性)には同い年の双子の兄弟Bさんがいます。遺伝的背景は共通でしたが、生活は対照的でした。
Aさんはデスクワーク中心で運動習慣がなく、忙しさから朝食を抜いて夜遅くにまとめて食べる生活でした。甘いコーヒー飲料を毎日飲み、間食も多く、身長170cmで体重80kg(BMI27超)と肥満気味でした。一方のBさんは営業職で歩く機会が多く、夕食後のジョギングが日課。野菜中心の食事で間食はほとんどなく、体重は65kg前後を維持していました。
50代半ば、ある日Aさんは強い喉の渇きと倦怠感で受診し、HbA1c 8.5%で2型糖尿病と診断されました。一方Bさんは、直近の健康診断でもHbA1cは5.6%と正常範囲でした。Aさんは「同じ遺伝子を持つ兄弟なのに、この差は何だろう」と戸惑いました。
運動不足・偏った食生活・肥満の積み重ねが発症の引き金になったこと、Bさんは日頃から体を動かし食事に気を配っていたことを知り、Aさんは「自分にも変えられる余地がある」と前向きに受け止めました。
その後Aさんは栄養指導を受け、野菜から食べる「ベジタブルファースト」や間食を控える工夫を実践。通勤で一駅分多く歩くことから始め、週2回のウォーキングを習慣にしました。血糖と体重の改善を目的に、主治医と相談のうえGLP-1受容体作動薬(週1回の自己注射による糖尿病治療薬)も併用しました。
こうした取り組みの結果、3か月後にはHbA1cが7%台へ低下し体重も5kg減少、半年後には6%台まで改善しました。受診のたびに院内でHbA1cの結果をその場で確認できたことが、「前回より良くなった」という手応えとなり、継続の支えになったとのことです。Aさんは「もし悪化していたら心臓病や脳梗塞になっていたかもしれない。早く対策できてよかった」と振り返ります。
このケースは、遺伝的素因があっても、生活習慣と適切な治療で経過を大きく変えられることを示しています。
糖尿病を防ぐ・改善するための生活習慣
原因の多くが生活習慣にあるということは、裏を返せば、対策できる余地が大きいということです。次のような習慣が、血糖の改善と予防に役立ちます。
- 食べる順番と内容を整える:野菜・海藻から食べ始め、主食の食べ過ぎを避ける。甘い飲料や間食を控える。
- こまめに体を動かす:一駅分歩く、食後に軽く歩くなど、無理なく続けられる運動から始める。
- 適正体重を意識する:内臓脂肪を減らすことが、インスリンの効きの改善につながる。
- 睡眠とストレスを整える:睡眠不足や強いストレスは過食や血糖上昇の一因になる。
- 定期的に数値を確認する:自覚症状が出にくいため、HbA1cや血糖値を定期的にチェックし、早めに変化を捉える。
「一人では続けられるか不安」「正しいやり方が分からない」という場合は、医療機関を頼ってください。食事・運動・体重管理を含めた相談もお受けしています。
本多内科医院での糖尿病の診療・継続管理
当院では、糖尿病をはじめとする生活習慣病に対して、きめ細かな診療と継続的なサポートを行っています。総合内科専門医・循環器内科専門医によるクリニックとして、糖尿病の管理から高血圧・脂質異常症の治療、動脈硬化の評価・予防まで一貫して対応できるのが強みです。
院内には迅速検査機器を備えており、ご来院当日にHbA1cの測定結果がその場で分かります。わずかな採血で数分で結果が出るため、毎回の受診で最新の数値をもとに具体的なアドバイスを受けられます。「前回よりHbA1cが上がっているので、食事をもう少し見直しましょう」といった指導を即日受けられることが、継続の安心につながります。
治療方針は、患者さんの生活背景に合わせて一緒に考えます。生活習慣の見直しを中心に進めたい方、必要に応じて血圧やコレステロールの管理、糖尿病治療薬の導入を検討したい方、それぞれの希望を踏まえて、負担の少ない継続しやすいプランをご提案します。
当院は月曜から土曜まで診療し、予約なしで受診いただけます。「糖尿病と言われたがどうしてよいか分からない」「治療中だがなかなか改善しない」「もしかして糖尿病かも」という方は、お気軽にご相談ください。
まとめ ― 糖尿病の原因を知り、早めに対策を
- 2型糖尿病の原因は、インスリンの効きの低下(抵抗性)と分泌の低下が組み合わさって起こります。
- 食生活の乱れ、運動不足、内臓脂肪型肥満、加齢、遺伝的素因などがリスクを高めます。
- 遺伝的素因があっても、生活習慣の見直しで発症の予防・改善が期待できます。
- 自覚症状が乏しいため、HbA1cなどの数値を定期的に確認し、早めに変化を捉えることが大切です。
「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、気になった今からできることに取り組みましょう。本多内科医院では、原因の評価から継続的な血糖管理、合併症の予防まで、循環器内科専門医の視点も含めてサポートします。
よくある質問
糖尿病になる人とならない人の差は何ですか?
2型糖尿病は、遺伝的な体質と長年の生活習慣が組み合わさって発症します。具体的には、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」(内臓脂肪・運動不足が関与)と、インスリンの「分泌低下」(体質・加齢が関与)の2つが少しずつ進むことで血糖が上がります。食生活の乱れ・運動不足・内臓脂肪型肥満・加齢・遺伝的素因・喫煙・過度の飲酒などのリスク要因を多く抱える人ほど発症しやすく、これらが少ない人ほどなりにくい、という差があります。
太っていなくても糖尿病になりますか?
なることがあります。日本人はもともと欧米人に比べてインスリンの分泌能力が低めとされ、それほど太っていなくてもインスリンが足りなくなって糖尿病を発症しやすい体質的な背景があります。「太っていないから大丈夫」とは限らず、体質(分泌低下)と生活習慣(インスリン抵抗性)の組み合わせで発症するため、やせ型の方でも運動不足や食生活の乱れが続けば注意が必要です。自覚症状が出にくいため、HbA1cなどの数値を定期的に確認することが大切です。
糖尿病は生活習慣の見直しで予防・改善できますか?
原因の多くが生活習慣にあるため、対策できる余地は大きく、遺伝的素因があっても予防・改善が期待できます。野菜から食べる、甘い飲料や間食を控える、一駅分歩く・食後に軽く歩く、適正体重を意識する、睡眠とストレスを整える、といった習慣が役立ちます。本多内科医院では院内でHbA1cを即日測定し、毎回その場の数値を見ながら食事・運動・お薬を調整します。実際に、生活習慣の見直しと治療でHbA1cが8.5%から半年で6%台まで改善した方の例もあります。
糖尿病の継続管理は、HbA1c即日測定の本多内科医院で
糖尿病は、数値を見ながら根気よく続ける継続管理が要になります。 本多内科医院(反町駅徒歩4分・東神奈川駅徒歩12分)では、院内でHbA1cを即日測定し、 毎回その場の数値をもとに食事・運動・お薬の調整を行います。 総合内科専門医・循環器内科専門医が、動脈硬化や心臓の合併症まで一貫して管理します。
- HbA1cを院内で即日測定。わずかな採血で数分、毎回の受診で最新値を見て指導します
- 合併症まで一貫評価。高血圧・脂質異常症・動脈硬化・心臓の負担まで循環器専門医が確認します
- 予約なしで受診できます。「健診で血糖を指摘された」「治療中だが改善しない」などもご相談ください
本多内科医院(内科・循環器内科)/院長 本多洋介(総合内科専門医・循環器内科専門医)
📍 横浜市神奈川区反町4丁目27-1 | 東急東横線「反町駅」徒歩4分・JR「東神奈川駅」徒歩12分
参考文献・出典
- (注1)厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」(2025年12月公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html - (注2)糖尿病情報センター(国立健康危機管理研究機構)「糖尿病って なに?」
https://dmic.jihs.go.jp/ - 日本内分泌学会「2型糖尿病(一般の皆様へ)」
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=93
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状や治療方針については医療機関にご相談ください。



