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【医師が解説】浮腫 その4 在宅・高齢者に多い“慢性的なむくみ”との付き合い方

「いつも足がむくんで重だるい」「一日中、靴下の跡が残っている」——在宅療養中の高齢患者さんや、ご家族・介護者の方から、慢性的な足のむくみについてご相談を受けることがあります。

年齢とともに足がむくみやすくなることはありますが、長く続くむくみを「年のせい」と決めつけるのは注意が必要です。心臓・腎臓・血管・栄養状態・薬の影響など、治療や調整が必要な原因が隠れていることもあります。

この記事では、在宅療養中の高齢者にみられる慢性的なむくみについて、日常で気づきたいサイン、考えられる原因、自宅でできる工夫、当院で行う検査と診療の流れをお話しします。足のむくみ全般の受診目安は、足のむくみもあわせてご覧ください。

足のむくみの画像

実際の足のむくみの画像


慢性的なむくみとは何でしょうか

むくみとは、体内の余分な水分が血管の外に染み出し、皮下にたまっている状態です。夕方だけではなく常に足がむくんでいる、何日も続いてなかなか引かない、押した跡がしばらく残るといった場合は、慢性的なむくみとして原因を考えていきます。

高齢の方では、足腰の筋力低下、活動量の減少、長時間の座位、塩分の多い食事などが重なり、足首やふくらはぎにむくみが出やすくなります。軽いむくみであっても、悪化すると皮膚が張って痛みを伴ったり、歩きにくさや転倒につながったりします。

一方で、むくみは生活習慣だけでなく、心臓、腎臓、血管、栄養状態、薬の副作用を反映していることもあります。数日から1週間以上続く場合や、息切れ・動悸・体重増加を伴う場合は、一度医療機関で確認しておくと安心です。


慢性的なむくみを起こしやすい身近な原因

体調に大きな変化がないように見えても、日常の習慣や加齢による変化でむくみが続くことがあります。

  1. 筋力低下と活動量の減少
    ふくらはぎの筋肉は、足にたまった血液を心臓へ戻すポンプの役割をしています。歩く機会が減ったり、関節痛や麻痺で足を動かしにくくなったりすると、血液やリンパ液が下肢に滞りやすくなります。
  2. 長時間同じ姿勢で過ごすこと
    椅子に座ったままテレビを見る時間が長い、台所仕事で立ちっぱなしになる、ベッド上で足を下げた姿勢が続くといった状況では、重力の影響で足に水分がたまりやすくなります。
  3. 塩分の多い食事
    味の濃い食事、漬物、汁物、加工食品、インスタント食品が多いと、体が水分をため込みやすくなります。むくみだけでなく、高血圧や心臓・腎臓への負担にもつながります。
  4. 薬の影響
    一部の降圧薬、痛み止め、ホルモン薬などでむくみが出ることがあります。特にカルシウム拮抗薬による足のむくみは比較的よくみられます。自己判断で薬を中止せず、症状と内服薬を一緒に確認することが大切です。

病気が隠れているむくみもあります

慢性的なむくみの背景に、治療が必要な病気があることもあります。両足に出る場合と、片足だけ目立つ場合では、考える原因が少し異なります。

心臓の機能低下

心不全では、心臓のポンプ機能が低下し、血液が体に滞ることで両足のむくみが出ることがあります。体重増加、横になると息苦しい、夜間の咳、少し動いただけで息切れするといった症状があれば、心臓の評価が必要です。

背景には、高血圧弁膜症心筋梗塞不整脈心房細動などが関わることがあります。息切れが目立つ方は、息切れ・息苦しいもご参照ください。

腎臓の機能低下

慢性腎臓病では、余分な水分や塩分をうまく排泄できず、足や顔にむくみが出ることがあります。朝にまぶたが腫れる、尿が泡立つ、尿量が減る、体重が増えるといった変化も手がかりになります。

糖尿病や高血圧は腎機能低下と関係が深く、むくみがある場合は尿や血液で腎臓の状態を確認します。

低栄養・肝臓の病気

食事量の低下や偏食で血液中のアルブミンが低くなると、血管内に水分を保ちにくくなり、足のむくみや腹水が出ることがあります。食欲不振、体重減少、腹部の張りがある場合には、栄養状態や肝機能も確認します。

下肢の血管やリンパの問題

片足だけ強くむくむ、痛みや熱感を伴う、急に腫れてきたという場合は、静脈やリンパの流れの異常を考えます。下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、リンパ浮腫などでは、足のだるさや左右差が目立つことがあります。足の冷えやしびれを伴う方は、足の冷えやしびれも参考になります。


在宅診療で経験したむくみのケース

80代の要介護女性で、数か月にわたり両脚のむくみが続いていました。ご家族は「年だから仕方ない」と考えていましたが、往診で診察すると食事内容の偏りが目立ち、低アルブミン血症によるむくみが疑われました。さらに、内服中のカルシウム拮抗薬も影響している可能性がありました。

重い心疾患や血栓は認めず、利尿薬の調整、食事内容の見直し、降圧薬の変更を行ったところ、約2週間で足のむくみが軽くなりました。カルシウム拮抗薬によるむくみは見落とされやすいため、高血圧で治療中の方では薬の影響も含めて考えることが大切です。


慢性的なむくみで受診を考えたいサイン

次のような場合は、慢性的なむくみでも医療機関での確認をおすすめします。

  • むくみが1週間以上続いている
  • むくみ部分に痛みや熱感がある
  • 左右差がはっきりしている
  • 息切れ、動悸、胸の違和感、強いだるさを伴う
  • 短期間で体重が増えている
  • 足だけでなく顔や手にもむくみがある
  • 朝起きたときにまぶたが腫れている

動悸・脈が飛ぶ、胸の違和感、強い息切れがある場合は、心臓の病気も含めて早めに評価します。胸痛を伴う場合は、胸が痛いに該当する危険なサインがないかも確認が必要です。


自宅でできる慢性的なむくみ対策

  1. 足を心臓より高くする
    座るときや寝るときに、クッションなどで足を少し高くします。重力を利用して足の余分な水分を戻しやすくします。
  2. こまめに足を動かす
    歩行が難しい方でも、椅子に座ったまま足首を上下に動かす、ベッド上で足を曲げ伸ばしするだけでも血流の助けになります。
  3. 弾性ストッキングを上手に使う
    足を適度に圧迫することで静脈の流れを助けます。ただし、動脈の血流が悪い方や皮膚トラブルがある方では注意が必要です。使用前に医師へご相談ください。
  4. やさしいマッサージ
    足先から膝の方向へ、強く押しすぎずに行います。皮膚が弱い方では、こすりすぎによる傷に注意してください。
  5. 減塩と栄養バランス
    塩分を控えめにし、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を無理のない範囲で摂ることも大切です。腎機能が低下している方は、食事内容を主治医と相談しながら調整します。

当院で行う検査と診療

慢性的なむくみの原因を見極めるため、当院では症状や診察所見に応じて検査を組み合わせます。

  • 血液検査:貧血、腎機能、肝機能、炎症反応、アルブミン、心不全マーカーなどを確認します。
  • 尿検査:尿タンパクや尿潜血を確認し、腎臓の状態を評価します。
  • 心電図検査:不整脈や心臓への負担を確認します。
  • 心臓超音波検査(心エコー):心臓のポンプ機能、弁膜症、心不全の有無を評価します。
  • レントゲン検査:心拡大、肺うっ血、胸水、肺の病気を確認します。
  • ABI検査:足の血流低下が疑われる場合に行います。

動脈硬化の評価が必要な方では、頸動脈超音波検査(頚動脈エコー)も検討します。いびきや日中の眠気、朝の血圧高値がある方では、睡眠時無呼吸症候群睡眠時無呼吸症候群の簡易検査につなげることもあります。

検査結果に応じて、利尿薬の調整、降圧薬の見直し、栄養状態への介入、弾性ストッキングの使い方の確認、必要時の専門医療機関への紹介を行います。


本多内科医院でお手伝いできること

当院では、一般内科循環器内科の両面から、足のむくみの原因を確認します。心不全、腎機能低下、生活習慣病、薬の副作用、低栄養などを一つずつ見ていくことで、必要な治療につなげます。

ご高齢で通院が難しい方には、訪問診療も選択肢になります。ご自宅で血圧、体重、むくみ、息切れ、食事内容、薬の飲み方を確認しながら、訪問看護やケアマネジャーとも連携して再増悪を防ぎます。


まとめ ― 慢性的なむくみを「いつものこと」で終わらせないために

  • 慢性的な足のむくみは、加齢や活動量低下だけでなく、心臓・腎臓・血管・栄養状態・薬の影響でも起こります。
  • 息切れ、動悸、体重増加、尿の変化、左右差、痛みや熱感がある場合は早めの確認が大切です。
  • 自宅での足上げ、足首運動、減塩、栄養管理は役立ちますが、原因によって対応は異なります。
  • 在宅療養中の方では、ご本人が症状を訴えにくいこともあります。ご家族や介護者が「いつもと違う」と感じたときは、早めにご相談ください。

足のむくみが続くときは、生活の工夫だけで抱え込まず、原因を確かめることが大切です。本多内科医院では、外来診療と訪問診療の両面から、無理なく治療を続けられるよう支えていきます。


よくある質問

高齢者の足のむくみは「年のせい」と考えて様子を見てよいですか?

加齢で足がむくみやすくなることはありますが、長く続くむくみを「年のせい」と決めつけるのは注意が必要です。背景に心不全・慢性腎臓病・低栄養・薬の副作用などが隠れていることがあり、治療や調整で改善する場合があります。むくみが1週間以上続く、左右差がある、痛みや熱感がある、息切れ・動悸・体重増加を伴う、朝にまぶたが腫れるといった場合は、一度医療機関で確認することをおすすめします。

在宅療養中の高齢者の慢性的なむくみには、どんな原因がありますか?

身近な原因として、ふくらはぎの筋力低下や活動量の減少、長時間同じ姿勢で過ごすこと、塩分の多い食事、薬(特にカルシウム拮抗薬)の影響などがあります。あわせて、心不全による心臓のポンプ機能低下、慢性腎臓病、低栄養(低アルブミン血症)、肝臓の病気、下肢静脈やリンパの流れの異常など、治療が必要な病気が隠れていることもあります。原因によって対応が異なるため、一つずつ確認することが大切です。

自宅でできるむくみ対策にはどんなものがありますか?

座るときや寝るときに足を心臓より少し高くする、椅子やベッドの上でこまめに足首を動かす、医師に相談のうえ弾性ストッキングを使う、足先から膝に向かってやさしくマッサージする、減塩とたんぱく質を意識した食事をとる、といった工夫が役立ちます。ただし、動脈の血流が悪い方や腎機能が低下している方では注意点が異なるため、本多内科医院では原因を確かめたうえで、外来・訪問診療の両面から無理なく続けられる方法をご提案します。



横浜市神奈川区・反町/東神奈川|訪問診療対応

通院が難しいご家族の「慢性的なむくみ」、訪問診療でご相談ください

長く続く足のむくみの背景には、心不全・腎機能低下・低栄養・薬の影響などが隠れていることがあります。 本多内科医院(反町駅徒歩4分・東神奈川駅徒歩12分)では、ご自宅に伺う訪問診療で、 循環器内科専門医がむくみ・体重・息切れ・服薬を継続して確認し、 在宅での心不全・むくみ管理を行います。

  • 循環器内科専門医による在宅管理。むくみの裏にある心不全・腎臓・薬の影響まで見極めます
  • ご自宅で体重・むくみ・息切れを継続確認。「いつもと違う」を早めに捉え、再増悪を防ぎます
  • 訪問看護・ケアマネジャーと連携。ご家族・介護者の負担を抑えながら無理なく続けられます

本多内科医院(内科・循環器内科/訪問診療対応)/院長 本多洋介(総合内科専門医・循環器内科専門医)
📍 横浜市神奈川区反町4丁目27-1 | 東急東横線「反町駅」徒歩4分・JR「東神奈川駅」徒歩12分

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