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心不全の診断はどう行う?症状・検査・基準を、循環器内科専門医が解説します

はじめに ―「この息切れ、もしかして心不全?」と不安な方へ

「最近、階段を上がると前より息切れが強い気がする」

「夕方になると足がパンパンにむくんで、靴下の跡がくっきり残る」

「横になると苦しくて、枕を高くしないと眠れない」

こうした変化が続くと、「年齢のせいかな」「運動不足だからかな」と思いながらも、心臓の病気が隠れていないか不安になる方は少なくありません。

この記事では、心不全かどうかを外来でどのように見極めていくかに焦点を当て、症状の見方、検査の流れ、受診の目安をお話しします。心不全そのものの詳しい説明は、心不全の案内もあわせてご覧ください。

「受診したほうがよいのは分かるけれど、一歩踏み出すのがこわい」という方が、まずは相談してみようと思えるきっかけになれば幸いです。


心不全の診断では、何を見ているのでしょうか

心不全は、心臓の働きが低下し、息切れ、むくみ、体重増加、だるさなどが出てくる状態です。ただし、同じような症状は肺の病気、貧血、腎臓病、甲状腺の病気、運動不足などでも起こります。

そのため、診察では「症状があるか」だけで判断せず、問診、身体診察、血液検査、心電図、レントゲン検査、心臓超音波検査(心エコー)を組み合わせて考えます。

背景には、高血圧狭心症心筋梗塞弁膜症不整脈心房細動などの心臓の病気が関係していることがあります。また、糖尿病脂質異常症慢性腎臓病睡眠時無呼吸症候群も、心不全の発症や悪化に関わります。

診断は「怖い宣告」ではなく、いまの身体の状態を知り、これからの治療方針を考えるための出発点です。


心不全が心配なときに確認したい症状

次のような症状が続く場合は、心不全の有無を含めて一度確認しておくと安心です。

息切れ・息苦しさ

  • 以前は平気だった階段や坂道で、強い息切れがする
  • 少し急いで歩いただけで、立ち止まりたくなる
  • 横になると息苦しく、枕を高くしないと眠れない
  • 夜中に息苦しさで目が覚め、座ると少し楽になる

このような症状については、息切れ・息苦しいもご参照ください。

足のむくみ・体重増加・尿量の変化

  • 夕方になると足首からふくらはぎがむくむ
  • 靴下の跡がくっきり残る
  • 数日から1週間で体重が明らかに増えた
  • 尿の量が以前より少なくなった気がする

むくみが気になる方は、足のむくみの案内も参考になります。

動悸・胸の違和感・だるさ

  • 脈が飛ぶ、ドキドキする感じがある
  • 胸の圧迫感や痛みを伴う
  • 以前より疲れやすく、家事や仕事のペースが落ちた
  • 食欲が落ち、なんとなく元気が出ない

動悸・脈が飛ぶ胸が痛いめまいを伴う場合は、心臓のリズムや血流の異常も考えながら評価します。

息切れやむくみなど心不全でみられる症状のイメージ


「心不全が心配」で受診されたときの外来の流れ

1. 症状と生活の変化をうかがいます

息切れやむくみがいつから始まったのか、どの場面で困るのか、体重の変化、夜間の呼吸苦、内服薬、これまで指摘された病気を確認します。

  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症の有無
  • 心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心房細動の既往
  • 腎機能の低下や蛋白尿の指摘
  • いびき、無呼吸、日中の眠気
  • ご家族の心臓病の有無

2. 聴診、むくみ、脈、血圧を確認します

心臓と肺の音を聴き、足のむくみ、皮膚の冷たさ、脈のリズム、血圧を確認します。健診での心電図異常・不整脈を指摘されている方では、心電図所見も重要な手がかりになります。

3. 必要な検査を組み合わせます

心不全が疑われる場合は、血液検査心電図検査レントゲン検査心臓超音波検査(心エコー)を中心に評価します。


心不全の診断でよく行う検査

血液検査 ― BNP/NT-proBNPなど

血液検査では、心臓にかかる負担の目安となるBNPやNT-proBNPのほか、貧血、腎機能、肝機能、電解質、血糖、脂質などを確認します。

BNPやNT-proBNPは心不全の診断に役立つ指標ですが、年齢、腎機能、体格などによっても変わります。数値だけで決めるのではなく、症状や心エコーの結果とあわせて判断します。

BNP/NT-proBNPの判断基準の表

BNP/NT-proBNPの判断基準についての表

心電図検査

12誘導心電図検査のイメージ

心電図検査では、不整脈、心房細動、過去の心筋梗塞の痕跡、高血圧による心臓への負担などを確認します。脈の乱れが強い場合は、ホルター心電図検査を組み合わせることもあります。

レントゲン検査

レントゲン検査では、心臓の大きさ、肺うっ血、胸水、肺炎などを確認します。息切れの原因が心臓なのか、肺や胸部の病気なのかを考えるうえで役立ちます。

心臓超音波検査(心エコー)

心臓超音波検査の機器

心臓超音波検査(心エコー)は、心不全の診断や重症度評価で中心になる検査です。心臓のポンプ機能、心臓の壁の厚さ、弁膜症の有無、肺高血圧を疑う所見などを確認します。

心不全のタイプや治療方針の詳しい説明は、必要に応じて心不全の内容とあわせてご案内します。糖尿病や慢性腎臓病がある方では、尿検査も全身状態の評価に役立ちます。

動脈硬化や睡眠時無呼吸症候群もあわせて確認することがあります

心不全の背景に生活習慣病や動脈硬化がある場合、頸動脈超音波検査(頚動脈エコー)ABI検査が参考になることがあります。いびきや日中の眠気、朝の血圧高値がある方では、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査も検討します。


医師は「検査結果」と「症状」を組み合わせて判断します

心不全の診断では、次の情報を総合して考えます。

  1. 息切れ、むくみ、体重増加、聴診所見などの症状・身体所見
  2. 心エコーで分かる心臓の構造や機能の異常
  3. BNP/NT-proBNPなどの血液検査の結果
  4. 心電図やレントゲンで分かる心臓・肺の状態

たとえば、階段での息切れと心エコーでのポンプ機能低下が一致していれば、心不全として説明しやすくなります。一方で、BNPがやや高めでも、症状や心エコーが安定していれば経過を見られることもあります。

検査の数字だけではなく、診察室でうかがう生活の変化がとても大切です。「こんなことを話してよいのかな」と遠慮せず、気になる変化をお伝えください。


どんなときに受診?どんなときに救急?

できるだけ早めの受診をおすすめしたい症状

  • 階段や坂道での息切れが、数週間から数か月で明らかに強くなっている
  • 足のむくみや体重増加が、数日以上続いている
  • 夜間の咳や息苦しさが増えてきた
  • 動悸や胸の違和感が増えてきた
  • 健診で心電図異常、不整脈、心拡大などを指摘された

救急受診を考えてほしい症状

  • 会話もつらいほど強い息苦しさが突然出た
  • 冷や汗を伴う強い胸痛や胸の締め付け感がある
  • 意識がもうろうとする、倒れそうになる
  • ピンク色の泡を含んだ痰が出る

これらは急性心不全や心筋梗塞など、急いで対応が必要な病気のサインのことがあります。


本多内科医院でお手伝いできること

当院では、総合内科専門医・循環器内科専門医である院長が、一般内科循環器内科の両面から診療を行っています。

予約なしでも相談しやすい外来

「この程度の症状で受診してよいのかな」という段階でも構いません。息切れ、むくみ、動悸、胸の違和感が続くときは、早めに一度ご相談ください。

心不全と関わる病気もまとめて確認します

生活習慣病外来高血圧外来糖尿病内科睡眠時無呼吸症候群など、心不全に関わる病気も含めて全体像を見ていきます。

通院が難しい方には訪問診療もご相談いただけます

心不全が進行し、通院そのものが負担になってきた方には、訪問診療でのフォローも選択肢になります。体重、血圧、むくみ、息切れ、薬の飲み方を確認しながら、できるだけ安心して生活を続けられるよう支えていきます。


まとめ ― 「心配しすぎかな」と思ったときが、相談のタイミングです

  • 心不全の診断では、症状、診察、血液検査、心電図、レントゲン、心エコーを組み合わせて評価します。
  • 息切れ、足のむくみ、体重増加、動悸、胸の違和感が続く場合は、心臓の状態を一度確認しておくと安心です。
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群は、心不全と深く関係します。
  • 早めに原因を見つけることで、治療や生活調整を始めやすくなります。

診断がつくことは終わりではなく、これからの治療や暮らし方を一緒に考えるための第一歩です。



参考文献

  1. McDonagh TA, et al. 2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure. Eur Heart J. 2021;42(36):3599–3726.
  2. Tsutsui H, et al. JCS/JHFS 2021 Guideline Focused Update on Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure. Circ J. 2021;85(12):2252–2291.
  3. Heidenreich PA, et al. 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure. J Am Coll Cardiol. 2022;79(17):e263–e421.
  4. 日本循環器学会. 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン. 2025.

📞 電話:045-755-3039

📧 メール:mychondaiin@gmail.com

🏥 診療科:内科循環器内科

🔷 総合内科専門医、循環器内科専門医

📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)

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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介

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