片足だけのむくみは「よくあること」で済ませないでください
「夕方になると片方の足だけがむくむ」「片方のふくらはぎが赤く腫れて痛い」「長く座っていたあとから、片足だけ重だるい」――こうしたご相談は、本多内科医院でも多く伺います。
両足のむくみは、加齢による筋力低下、塩分の摂りすぎ、長時間の座位などでも起こります。一方で、片足だけのむくみは、血栓、感染、リンパの流れの障害、骨盤内の病気などが隠れていることがあり、早めの評価が大切です。
足のむくみ全般の受診目安は、足のむくみの案内でも詳しくまとめています。この記事では、その中でも片側だけに出るむくみに焦点を当て、実際の症例を交えながら、受診の目安、必要な検査、当院でできる対応をお伝えします。
「片足だけだから、姿勢のせいだろう」と様子を見る前に、痛み・赤み・熱感・息切れ・体重減少がないかを一度確認してください。
なぜ「片足だけのむくみ」は注意が必要なのか
むくみは、血液やリンパ液、水分の流れが滞ることで起こります。両足に同じように出るむくみでは、心臓、腎臓、肝臓、栄養状態、薬の影響など全身の要因を考えます。
一方、片足だけがむくむ場合は、その足の血管やリンパの流れが局所的に妨げられている可能性があります。代表的には、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、蜂窩織炎、骨盤内の腫瘍による圧迫などです。
症例1|長時間移動後に片足が腫れた深部静脈血栓症
50代男性。海外出張で長時間飛行機に乗ったあと、左ふくらはぎが急に腫れ、歩くと痛むようになって受診されました。
診察では、左脚全体のむくみ、ふくらはぎの圧痛、皮膚の発赤と熱感を認めました。血液検査でDダイマーが上昇し、下肢血管エコーで膝裏からふくらはぎの静脈に血栓を認め、深部静脈血栓症と診断しました。

ふくらはぎの中にあるヒラメ静脈の血栓像
診断結果:深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、足の奥にある静脈に血栓ができる病気です。血栓が肺に飛ぶと肺血栓塞栓症を起こし、命に関わることがあります。長時間の飛行機・車移動、入院や手術後の安静、脱水、がん、ホルモン治療などが関係することがあります。
この方は直接経口抗凝固薬(DOAC)による治療を行い、むくみと痛みは徐々に改善しました。原因がはっきりしない血栓では、悪性腫瘍などが隠れていないか追加検査を検討することもあります。
受診の目安
- 片足全体が急に腫れた
- ふくらはぎに痛みや圧痛がある
- 赤みや熱感がある
- 長時間移動、手術後、長期安静のあとに症状が出た
- 息切れ、胸の痛み、冷汗を伴う
息切れや胸の痛みを伴う場合は、肺血栓塞栓症の可能性もあるため、救急受診が必要になることがあります。胸の症状がある場合は、胸が痛い、息切れ・息苦しいも参考にしてください。
症例2|がん手術後に続いたリンパ浮腫
60代女性。3年前に子宮体がんの手術を受け、骨盤リンパ節郭清も行われていました。半年ほど前から右足だけが夕方にむくみ、靴が履きづらくなったため受診されました。
痛みや発熱はありませんでしたが、夜になってもむくみが引きにくく、足が張る感じが続いていました。血液検査や下肢静脈エコーでは深部静脈血栓症を疑う所見はなく、がんの再発評価も含めて精密検査を行いました。専門施設でリンパ流の遅延を認め、続発性リンパ浮腫と診断されました。
診断結果:続発性リンパ浮腫
リンパ浮腫は、リンパ液の流れが悪くなり、皮下に水分がたまる状態です。がん手術でリンパ節を切除したあとや、放射線治療後に起こることがあります。乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの治療歴がある方では、手術から数年たってから出ることもあります。
進行すると皮膚が硬くなり、蜂窩織炎を繰り返すことがあります。がん治療歴がある方で、片足のだるさやむくみが数週間以上続く場合は、早めに医療機関で相談してください。
症例3|糖尿病と足の傷をきっかけに起きた蜂窩織炎
60代男性。糖尿病があり、足趾に水虫もありました。右足首付近の小さな傷をきっかけに、2日前から赤み、腫れ、熱感、痛みが出て、38℃の発熱もあり受診されました。
血液検査では白血球数とCRPが上昇しており、蜂窩織炎と診断しました。下肢静脈エコーで深部静脈血栓症を否定したうえで、抗菌薬治療と安静、足の挙上を行い、数日で腫れと熱感は改善しました。
診断結果:蜂窩織炎
蜂窩織炎は、皮膚や皮下組織に細菌が入り、赤く腫れて熱を持つ感染症です。小さな傷、水虫、深爪、乾燥によるひび割れなどが入口になることがあります。糖尿病がある方では、感染が重くなりやすく、治療の遅れに注意が必要です。
足の赤み、痛み、熱感、発熱がある場合は、血栓だけでなく感染症も考えて早めに受診してください。
症例4|骨盤内の腫瘍で片足だけがむくんだケース
70代女性。数か月前から左脚だけのむくみが続き、「体重は減っているのに脚だけむくむ」と受診されました。
腹部超音波検査だけでは原因がはっきりしなかったため、造影CTで詳しく調べたところ、骨盤内に大きな腫瘍性病変を認めました。左総腸骨静脈が腫瘍に圧迫され、左脚の静脈やリンパの流れが障害されていました。総合病院へ紹介し、手術方針となりました。
片足のむくみに加えて、体重減少、食欲不振、貧血、腹部膨満、黄疸などがある場合は、腹部や骨盤内の病気も考慮します。必要に応じて、総合病院でのCTや専門診療につなげます。
片足だけのむくみで早めに受診したいサイン
- 片足だけのむくみが1週間以上続いている
- 急に片足が腫れ、痛み・熱感・発赤がある
- ふくらはぎを押すと痛い
- 長時間移動や手術後、長期安静のあとにむくみが出た
- 足に傷や水虫があり、赤く腫れている
- がんの治療歴があり、片足だけが重だるい
- 息切れ、胸の痛み、動悸を伴う
- 体重減少、食欲不振、腹部膨満、黄疸を伴う
片足だけのむくみは、疲れや年齢だけでは説明できないことがあります。迷う場合は「一度診てもらう」ほうが安全です。
本多内科医院で行う検査と評価
片足だけのむくみでは、原因を一つに決めつけず、症状の出方、左右差、痛み、発熱、既往歴、内服薬、がん治療歴、生活状況を確認します。そのうえで、必要な検査を組み合わせます。
- 血液検査:炎症反応、貧血、腎機能、肝機能、心不全マーカー、Dダイマーなどを確認します。
- 尿検査:蛋白尿や血尿を調べ、腎臓の病気を評価します。
- 心電図検査:不整脈や心臓への負担を確認します。
- 心臓超音波検査(心エコー):心不全や弁膜症、心臓のポンプ機能を評価します。
- レントゲン検査:心拡大、胸水、肺うっ血などを確認します。
- ABI検査:足の血流低下や動脈硬化を評価します。
深部静脈血栓症や腹部・骨盤内疾患が疑われる場合は、血管エコー、造影CT、専門診療が必要になることがあります。当院で初期評価を行い、必要に応じて近隣の総合病院へ迅速に紹介します。
当院で相談しやすい理由
予約なしで受診できます
片足のむくみは、症状が出たタイミングで評価することが大切です。当院は予約なしで受診できるため、「急に腫れてきた」「赤くなって痛い」「数日続いて不安」という段階でもご相談いただけます。
総合内科と循環器内科の両面から評価します
一般内科として感染症、腎臓、肝臓、栄養状態、糖尿病などを確認し、循環器内科として心不全、不整脈、弁膜症、血管の病気を評価します。
通院が難しい方には訪問診療も選択肢になります
要介護状態や心不全、慢性腎臓病などで通院が難しい方は、訪問診療での継続管理もご相談いただけます。むくみ、体重、血圧、服薬状況を継続して確認することで、悪化を早く見つけやすくなります。
まとめ|片足だけのむくみは、体からの大切なサインです
- 片足だけのむくみは、深部静脈血栓症、リンパ浮腫、蜂窩織炎、骨盤内疾患などが原因になることがあります。
- 痛み、赤み、熱感、発熱、息切れ、胸の痛み、体重減少を伴う場合は早めの受診が必要です。
- 糖尿病、心不全、慢性腎臓病、がん治療歴がある方では、特に慎重な評価が大切です。
- 当院では、血液検査、尿検査、心電図、心エコー、レントゲンなどを組み合わせ、必要時は総合病院へ紹介します。
「片足だけむくんでいるけれど、病院に行くほどなのか分からない」と迷うときは、まずご相談ください。早めに原因を見極めることで、重症化を防げる場合があります。
📞 電話:045-755-3039
📧 メール:mychondaiin@gmail.com
🏥 診療科:内科、循環器内科
🔷 総合内科専門医、循環器内科専門医
📍 Myクリニック本多内科医院(横浜市神奈川区反町4丁目27-1)
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監修: Myクリニック本多内科医院 院長 本多洋介

